OpenSSHにプライベートキー窃取につながる深刻な脆弱性

Zack Whittaker (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-01-15 10:11

 Secure Shellプロトコルを使ってリモート接続を行う際に使われるOpenSSHに、深刻な脆弱性が発見され、パッチが公開された。このセキュリティホールは、ユーザーが接続を復旧できるようにするための「実験的」な機能に含まれていた。

 このセキュリティホールに関する情報が開示されたメーリングリストによれば、これを悪用することで、悪意のあるサーバが脆弱性のあるクライアントのメモリ内容(クライアントのプライベートキーを含む)のリークを引き起こさせることができる。

 影響を受けるコードは、OpenSSHのクライアントバージョン5.4から7.1で、デフォルトで有効になっている。メーリングリストの情報によれば、この機能に対応するサーバ側のコードが公開されたことはない。

 クライアント側のローミング機能が無効になっていれば、この問題の影響は受けない。

 現在、セキュリティパッチ(バージョン7.1p2)が、OpenSSHのプロジェクトページで公開されている。

 パッチのリリースノートによれば、サーバのホストキーを使用した認証が行われるため、中間者攻撃による悪用はできず、情報漏洩先は悪質なサーバへの接続に限られるという。

 このセキュリティホールは何年もの間存在していたもので、Qualysのセキュリティアドバイザリチームによって発見された。

 Qualysの最高技術責任者(CTO)Wolfgang Kandek氏は、メールの中で、同社はこのバグに関する情報を米国時間1月11日にOpenSSHのチームに開示したと述べ、同チームは「驚くほど素早く」対応し、わずか3日でパッチを公開したと称賛している。

 Qualysはその後米国時間1月14日に、概念実証コードを含む長い記事を公開したため、影響を受けるすべてのOpenSSHクライアントには素早い対応が必要となる。

 この脆弱性は、過去にOpenSSHに発見されたセキュリティホールの中でもっとも深刻なものの1つだと考えられている。

 セキュリティ研究者Kenneth White氏のTwitterでの発言によれば、OpenSSHは世界のサーバの70%以上でリモートアクセスツールとして使われている。

 またWhite氏はその後のメールで、このソフトウェアは多くの商用ルータおよびファイアウォールでも使用されていると述べている。

 同氏によれば、Red Hat、CentOS、Amazon Linuxの各ディストリビューションには、「おおむね」影響がないという。しかし、影響を受けているディストリビューションもある。

 Canonicalはアドバイザリの中で、Ubuntuのバージョン12.04、14.04、15.04、および15.10がこの脆弱性の影響を受けると述べている。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)のバージョン4、5、6には影響はないが、2015年3月以前のRHEL 7の一部のバージョンは、このバグの影響を受ける。

 White氏は電子メールの中で、影響の大きさは「判断が難しい」と述べている。

 同氏によれば、他のシステム(例えばバックアップサーバ)に接続することのある何十万台ものLinuxサーバには、管理者のSSHの鍵が盗まれている危険がある。

 影響を受ける読者は、一刻も早くパッチを適用して欲しい。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]