ハードウェアについても同様だ。Forrester Researchによれば、ベンダーは従来のデータセンター用機器を販売するのに苦しんでおり、国際顧客はバランスの取れたハイブリッドソリューションに経費削減の解決を見いだす可能性があるという。「正しいバランスは、自社インフラを定常的なワークロードに使用し、ピークロードや特別なプロジェクトにはクラウドを使用するという形のハイブリッドにすることで得られる可能性が高い。インフラのためのハードウェアやソフトウェアの価格が下がっており、クラウドプラットフォームサービスの費用は大きく上昇する可能性があるため、インフラをレンタルするよりも所有しようという判断は、今後ますます合理的になる」とForrester Researchは述べている。
長期的な傾向としては、ワークロードはクラウドに移行しつつあるが、世界的な経済の課題によって、この移行は遅れるかもしれない。ただし、すべてのアナリストが、オンプレミス向けハードウェアとソフトウェアに関するForrester Researchの考え方に賛成しているわけではない。例えば、Bernsteinのアナリストは、ワークロードはパブリッククラウドに移行し、オンプレミスのインフラは終焉を迎えるとしている。
BernsteinのアナリストであるCarlos Kirjner氏は、エンタープライズ市場の既存大手ベンダーは、時間が経つにつれてクラウドプロバイダーに切り崩されるという、よく耳にする意見を唱えている。同氏は次のように述べている。
コンピューティング、通信、ストレージがクラウドに移行することよる価格引き下げ係数はかなり大きなものになる可能性が高い(クラウドに対する1ドルの支出は、おそらくIT支出全体の2~3ドルにあたる)。これは、エンタープライズ顧客がクラウドを利用するごとに、利用した分にのみ料金を支払うためだ(データセンター内の資産稼働率は30%程度しかないことを示す複数の調査があり、これは潜在的な価格引き下げ係数が3倍以上になる可能性があることを示している)。これは、パブリッククラウドに対する500億ドルの支出が、実にIT支出の1500億ドル以上に相当することを示しており、これは全市場規模の15%にも及ぶ。従って当然、サーバ、ストレージ、ルータ、スイッチ、ミドルウェアの製造と販売、およびそれらに関連する企業、政府、教育機関のデータセンター向け統合サービスは、今後数年間で大きな逆風に見舞われる可能性が高くなる。この傾向を無視して、既存大手企業に影響がないと主張する者は、状況を理解しているとは言えない。
Kirjner氏は、このクラウドによる価格低下が、Forrester Researchのシナリオでは各国の顧客にオンプレミス向けソフトウェアを販売するとされているエンタープライズアプリケーションベンダーに影響を及ぼすかどうかは、まだ分からないとしている。ただし同氏は、AWSが電子メールやカレンダーのサービスに進出したことは、今後クラウドプロバイダーがいずれかの時点でスタック上層に食い込んでいくことを示している可能性が高いと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。