こういった状況の中、2030年ごろの就職戦線は大きく様変わりしていることが予想される。就職活動では、これまでの成績やその人の適正、企業の求める人材像などから、AIが最適な職種を予測し、マッチングさせるといった就職先のアドバイスもしてくれるかもしれない。
現在、新入社員の3割が3年で会社を辞めてしまうというデータもあるが、マッチングがより高度になることで、新入社員の離職率が下がる可能性もあるだろう。一方で、転職に最適な仕事をより高度にアドバイスしてくれ、働き方の考え方や仕組みも大きく変化することで、転職市場の流動化がさらに進んでいるかもしれない。
2030年以降になると、産業構造も大きく変化し、職場にはAIを搭載したロボットによる業務の自動化の比率も高まっているはずだ。これらのロボットとの厳しい競争にさらされつつも、仕事の質そのものが大きく変化し、新しい仕事も生まれ、多くの共働プロジェクトも進んでいるだろう。
また、AIやロボットにどこまで仕事を任せるか、ということも大きなテーマとなっているだろう。「人間のサポート役」になるのか、「人間と共働によるパートナー役」か、AIやロボットが中心に動いて「人間がサポート役」か、もしくは、「業務の完全の置き換え」がされているのか、業務内容や業務プロセスによって、人間との業務の範囲や比重も多様化しているかもしれない。
結婚相手も、AIがこれまでの人生経験をもとに、理想の結婚相手を探し出してくれるかもしれない。これにより、未婚率の減少が進むことで出生率が上がり、超少子高齢化の深刻な問題は改善の方向に向かっていくかもしれない。
35歳になる2045年は、AIが全人類の知能を超えるという「シンギュラリティ(技術的特異点)」に達するという予測がある。
35歳というと、企業や家庭などにおいて、重要な役割を担っている時期だ。果たして、本当にそういう時代になっているかは、誰も確証はできないが、スマートマシンが人間にとって、大きな影響力を持つ存在となっていることは間違いないだろう。子どもを持つ親の立場としても、この時代の流れの先を読み、子育てを考え行動していく覚悟が必要と考えている。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。