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内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

IT部門に欠如する2つの機能を補うには

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2016-01-20 07:00

 第8回「多くのIT部門に欠如する自己評価能力」と第9回「IT部門に求められるマーケティング機能」でIT部門に欠如する2つの機能について述べてきました。今回は、この2つの機能を強化する方策としてIT白書の策定を推奨します。

IT部門からの情報発信の必要性

 多くの国内企業のIT部門には、2つの機能が不足していることを指摘してきました。それは自己評価機能とマーケティング機能です。自己評価機能は、IT部門の活動やコスト、情報システムの活用状況、ビジネスへの貢献度などを自ら定期的に評価することを意味します。

 もう1つのマーケティング機能は、インバウンドのマーケティングとしてユーザーのニーズや課題、満足度などを把握する情報収集の取り組み、アウトバウンドのマーケティングとして技術シーズを明らかにしたり、自部門の活動成果を公表したりする情報発信の取り組みが含まれます。自己評価機能によって評価したIT部門の活動成果について説明することもステークホルダーへの情報開示という意味で重要なアウトバウンドのマーケティングコミュニケーションといえます。

 これまでITは専門的な知識が必要な領域であったため、経営者やユーザー部門にとって分かりにくいものであっても仕方がないと思われがちでした。しかし、デジタル化が進み、ITがビジネスの最前線で活用される昨今においては、わかりにくいままでは済まされなくなっており、IT部門からの能動的な情報発信が必要となっているのです。

IT白書による社内外への広報活動

 自己評価機能については、欧米企業では計数管理の風土が根付いており、部門目標をKPIによって定量化したり、自社の状況を同業他社とベンチマークしたりする取り組みが活発です。国内においても製造業の生産管理部門や工場においては、TQC(Total Quality Control)などの長年の活動により徹底した計数化に基づく目標管理が行われています。

 しかし、IT部門ではこのような計数化の文化が醸成されておらず、「可能な限り努力する」というやり方で運営されてきたというのが実態と言えるのではないでしょうか。

 また、マーケティング機能についても、欧米においては最高情報責任者(CIO)やIT部門が自らのパフォーマンスを測定し、社内外に訴求することに積極的な姿勢が見られます。IntelのITパフォーマンスレポートはその代表例といえます。一方、国内においても、10年以上前からIT白書を作成している企業もありますが、そうした企業は少数派です。

 IT白書は、年度IT計画に沿ったIT施策や各種活動と継続的なIT運営やITサービスの提供の状況について1年間の成果を総括するものです。

 なお白書とは、もともとは「政府の活動分野ごとに、一般状況、活動、将来のあるべき状況とその実現方法などを明らかにした政府の公式文書」(ブリタニカ国際大百科事典の定義)であり、昨今では民間企業の報告書など幅広く使われるようになっていますが、IT白書という名称にこだわる必要はありません。


IT白書の位置づけ(出典:ITR)

 IT白書などによる情報発信は、社内のステークホルダーに対する説明責任の全うと、啓発において有効な手段であり、今後注目度が高まることが予想されます。また、今後は社内だけでなく株主や投資家といった社外のステークホルダーに対する情報開示という視点が加わり、ますます重要性が高まると考えられます。

 2015年12月に経済産業省が発行した「攻めのIT-IRガイドライン」においても「攻めのIT経営」という視点から各企業が投資家などに向けてIT活用に関する情報を発信することが推奨されています。今後は、決算報告資料の一部にIT戦略方針や重要なIT投資案件の状況を記載したり、環境報告書やCSR報告書のように企業のIR資料の一環としてIT白書が位置づけられたりする可能性も考えられます。

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