IBMは米国時間1月15日、電子決済での不正行為をコグニティブ(認知)コンピューティングモデルによって検知するサービスを手がけるIRIS Analyticsを買収したと発表した。
IBMによると、今回の買収によって同社のアナリティクスおよび不正対策テクノロジのポートフォリオが充実することになるという。
決済手段が小切手から、ICカードと暗証番号を利用する方法や、非接触型決済方法に移行するにつれ、電子決済まわりの不正行為や、セキュリティ対策をかいくぐる犯罪が増えていくはずだ。
新型の決済テクノロジを導入する企業は、詐欺行為が仕掛けられた際に、できる限り早くそのことを検出し、対応できるようにしておく必要がある。このため、決済パターンのリアルタイム分析サービスを提供する企業の価値が高まってきている。
なお、買収条件は明らかにされていない。
ドイツのコブレンツに拠点を置くIRISは2007年に設立された企業であり、既製の不正行為防止ソリューションを手がけている。同社のソリューションには、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードによるオンライン決済やモバイル決済などのさまざまな電子決済手段を網羅した、不正行為のリアルタイムでのスコアリングをサポートするプラットフォームが含まれている。
IRISは、不審な決済アクティビティに目を光らせる決済プロバイダーを支援するために、認知型の機械学習モデルを利用してテクノロジ上のギャップを埋め、未知の不正行為のパターンを洗い出す「仮想アナリスト」として機能するソリューションを提供している。
IBMで業界ソリューション担当ゼネラルマネージャーを務めるAlistair Rennie氏によると、認知コンピューティングは不正対策と戦うための新たなモデルに向けた触媒として機能することが明らかになっており、IRISのテクノロジをIBMの現在のポートフォリオと統合することで、不正行為を検出するためのより正確な手段を迅速に提供できるようになるという。これにより顧客企業は、不正行為に対して反撃できるようになるとともに、効果的な対策を講じられるようになるという。
IRISの最高経営責任者(CEO)Constantin von Altrock氏は以下のように述べている。
金融犯罪を防ぐうえで、イノベーションや進歩が喫緊の課題となっている。決済業界がICカードと暗証番号を利用する方法や、モバイル決済、即時支払いといった新たな決済手段を取り入れて発展していくなかで、決済処理を実行する前に、それが不審なものか正当なものかを正確に見極める能力が金融機関に求められるようになっている。
IRISのテクノロジとIBMの不正行為対策能力を組み合わせることで、決済における不正行為をリアルタイムで防止するための包括的なソリューションが実現される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。