(3)騰落レシオ(東証1部)
東証1部騰落レシオ(25日移動平均線)と日経平均推移 2012年1月4日~2016年1月15日

(注:楽天証券経済研究所が作成)
騰落レシオは、一般的には「80を割れたら売られ過ぎ、120を超えたら買われ過ぎ」と解説される。新聞でよく「80を下回ったから短期的に売られ過ぎ」「120を超えたから相場が過熱」という表現を見るが、ミスリーディングだ。
騰落レシオは、過去の推移を見ると、140以上に上昇することも、70以下に下がることもよくある。120を超えてから日経平均の上昇が加速することも、80を下回ってから日経平均の下落が加速することもある。窪田氏は、短期的な相場動向を考える上で、騰落レシオはほとんど使いものにならないと考えているという。
ただし、騰落レシオが極端に高く、あるいは低くなった時は、見る必要がある。具体的には150を超えた時と、60を下回った時だ。1月15日に騰落レシオは59.7まで低下しましたので、短期的な売られ過ぎを意識してよいと考えられる。
ただし、騰落レシオだけで過熱感を判断するのは問題がある。他の過熱指標と合わせてみることが必要だ。なぜならば、騰落レシオは相場全体の過熱感とは無関係に上下することもあるからだ。小型株中心に相場が上昇する時は、相場全体が過熱していなくても、するすると騰落レシオだけ上昇することがある。そういう場合は、騰落レシオが150を超えても、売りシグナルとは考えられない。
2012年以降、騰落レシオが150を超えたことが3回あるが、移動平均線との乖離率も合わせて見た上で、窪田氏が過熱のシグナルと判断したのは、バーナンキショック直前の2013年5月7日(グラフ中で赤の四角で囲んだところ)だけだ。
なお、現在の騰落レシオ(59.71)は、大型株主導の下落で60を割っているので、短期的な売られ過ぎシグナルと見てよいと考えられる。