NTTデータと、NTTデータのスペイン子会社であるeveris(エヴェリス)グループは1月15日、スペインの医療機関と連携し、集中治療室(ICU)向けの医療データ分析システムの開発に向けた実証実験を1月27日に開始すると発表した。
ICUでは、重度の病気や外傷の患者を対象に、高度な医療機器を用いて常時患者の容態をモニタリングしながら医療行為が成される。しかし、これらの医療機器から得られるデータは膨大であり、医師や看護師がすべてを把握してデータを解釈するには多くの時間を要していた。
NTTデータとエヴェリスが開発を目指すシステムは、ICUで用いられている各種医療機器から得られるデータを1つのプラットフォームに集約して提示するもの。さらに、各種データを分析して症状推移を予測し、医師の迅速な意思決定をサポートする。2015年3月から医療機関と共同研究を続けており、今回、プロトタイプが完成したことから、実際の医療現場での実証実験を行うことになった。
実証実験は、1月27日から3月31日までの期間、スペイン・セビリアのヴァーゲン・デル・ロシオ大学セビリア病院(Virgen del Rocio University Hospital in Seville)において、以下の内容について検証を行う。
- 医師への治療手順伝達手法の検証 実際のICUで医師が的確な判断が行えるように、治療手順やその根拠になる情報をわかりやすく医師や看護師に伝達する手法を、実際の医療現場において検証する
- データ収集プラットフォームの性能検証
ICUで使用されている医療機器からの各種データを一元的に収集するためのプラットフォームの性能要件について検証する - 患者の症状推移の予測技術開発 実際にICUで行われてきた治療行為の記録と、各種機器から取得した患者の容態を示すデータの相関性を分析し、機械学習技術を用いて患者の症状推移を予測する技術について研究開発する