アクセンチュアは1月5日、世界28カ国2万8000人の消費者を対象として実施された「2016 Accenture Digital Consumer Survey(2016年 アクセンチュア デジタル消費者調査)」の結果を公表した。
調査の結果、47%の回答者が、IoT(モノのインターネット)関連デバイスや関連サービスの購入を控える理由として、「セキュリティ上の懸念」や「プライバシーリスク」を上位3項目内に挙げたという結果が出た。
調査により、高まるセキュリティへの懸念やスマートフォンやタブレット端末の需要の停滞、期待されるIoT市場の鈍化により、家電業界を取り巻く環境は来年度まで大きな好転が見られない可能性を示唆した。
スマートフォンとタブレット需要
消費者向けスマートデバイスについては、「今年中にスマートフォンを購入する」とした回答者は半数以下(48%)となり、2015年の54%から6ポイント減少。同様の傾向は他のスマート家電製品でも顕著であり、「今年中に新型テレビやタブレットを購入する」とした回答者は、それぞれ30%と29%と昨年の38%から減少しており、需要の停滞が明らかになった。
アクセンチュアは、消費者向けテクノロジ市場の低迷は、今のところ打開策に乏しく、グローバル規模で見られる状況と説明。華美な製品でアピールできず、安全性と革新性そして実用性を兼ね備えたデジタルサービスの提供や業界横断的なオープンなコラボレーションが求められていると指摘し、家電業界は消費者の信頼を獲得できる革新的な付加価値サービスを打ち出すことが喫緊の課題であるとした。
IoTデバイス市場
一方、成熟したスマートフォン市場に代わり、今後の成長をけん引すると有望視されたIoTデバイス市場についても、同じく成長が鈍く、踊り場から脱して大きく伸びていないことが明らかになった。この調査におけるIoTデバイスには、スマートウオッチ、ウェアラブルフィットネスモニタ、スマートホームサーモスタットなどが含まれる。
例えば、「来年中にスマートウオッチを購入する」とした回答者は13%と、2014年度の調査と比較して1%の微増に留まった。
またフィットネスモニタ、ウェアラブルヘルス端末、スマートサーモスタット、コネクテッドホーム、監視カメラを含むさまざまな製品に購入意欲を示した回答者は9%と大きな成長がみられず、2014年度の調査からあまり変化が見られなかったという。
特にスマートウオッチの販売不調は、消費者の求めるバッテリ駆動時間、操作性、デザイン性における期待値をいまだにメーカーも販売店も十分に満たせていないことに起因していると同社では指摘している。
日本市場
日本市場に限ってみると、スマートフォンの購買意欲は毎年徐々に鈍化傾向にあり、ピーク時の2年前と比較して8%減だった。買い替え需要はあるものの、既に日本はスマートフォンに関してかなり成熟した市場であることが判明したという。また、スマートウォッチやウェアラブルフィットネスモニタなどのIoT製品に関しては、他国と比較すると購買意欲に大きな遅れが見られるという。
同社によると、こうした傾向は日本市場によくみられることだが、その理由として考えられるのは、「製品が普及期に達するには高額」「使用する価値が不明瞭」としており、家電メーカーやプロバイダー各社は、消費者の心をつかむべく顧客体験を向上させる一層の努力が必要だと指摘した。