ノークリサーチは1月18日、2015年の調査などから、PCとスマートデバイス、サーバ、ストレージ、ネットワークなど基本インフラの調査結果と展望を発表した。「Software-Defined」「IoT(モノのインターネット)」「クラウド」などがより中堅中小企業にとって身近になってきているという結果が出た。
「Software-Defined」は小規模なサービスの有効な手段となる
スマートデバイス活用は中堅中小企業においても引き続き関心の高いテーマの1つだが、スマートデバイス活用には様々な課題が存在する。下のグラフは年商500億円未満の中堅中小企業に対して質問した結果だが、中でも「通信に要する月額料金負担が大きい」という課題はユーザー企業やSIerの努力だけでは解決が難しいという。
IoT(モノのインターネット)関連市場の発展においても通信コストが今後の課題となってくる。こうした課題の解決策として2015年の年頭所感では「法人向けMVNO」について言及していたが、不要な付加機能を削ってもMVNO提供側のコスト削減には限界があり、中堅中小企業を対象とした安価な通信サービスが広まるまでには至らなかった。
(ノークリサーチ提供)
2016年には、こうした状況に大きな変化が生じる可能性がある。その契機となるのが、ソラコムなどに代表される「SD(Software-Defined)-MVNO」とも呼ぶべき取り組みだ。
同社の通信サービス「SORACOM Air」は基地局のみを大手キャリアから借り受け、従来ハードウェアが担っていた交換機などの機能をAWSのクラウド上にソフトウェアで実現している。そのため利用料金が安価かつ詳細に体系化されており、大手ではないIT企業やユーザー企業によるコンソーシアムなどが業種や規模に合わせた企業向けMVNO、さらにはそれを基盤としたIoTソリューションを提供することも可能となる。
これまで、ストレージやネットワークにおける「Software-Defined」では大規模用途におけるスケーラビリティに注目が集まることが多かった。2016年には「手軽な価格で小規模から始められるサービス構築のための基盤」として「Software-Defined」が再び注目を集めるのではないかと期待される。
スマートデバイス端末で求められるもの
下のグラフは年商500億円未満の中堅中小企業に対し、「スマートデバイス端末の形状やOSを選択する際の重視事項」を質問した結果のうち、いくつかの項目を抜粋してプロットしたもの。
企業におけるスマートデバイス活用に求められる要件として留意しなければならないのは「一般消費者向け端末とのニーズの違い」だ。回答で最も多かったバッテリ駆動時間の長さは、「業務が停滞しないこと」を求めたものといえる。
また、企業向け端末は保守負担を抑える必要から、一般消費者向けとは逆に端末やOSが毎年のように変わる状況は好ましくない。さらに、管理や運用の負担が大幅に増えないことも大切で、既存のPC環境と管理や運用の手法がある程度共通していることを望む傾向が見られる。
(ノークリサーチ提供)