SDN座談会(1):運用管理のあり方を変えるSDNは適材適所で考えるべき - (page 4)

吉澤亨史 田中好伸 (編集部) 山田竜司 (編集部)

2016-01-26 07:00

 「基本的にLANの運用管理が楽になります」、あるいは先ほどあったように「夜中にやる仕事がなくなります」「物理的なものを作っておけば、後からいくらでも変更できます」という話をさせていただくのですが、「それに見合った費用ではない」と蹴られます。現実的に動かしているIT部門の心をまず動かすことができないという状況でした。

 そういった状況の中で、IIJではSDNとNFVの組み合わせたサービスとしてコントローラとUI(ユーザーインターフェース)、コントロールパネル(コンパネ)も全部われわれが用意して、それをNFVの機能と一緒に提供する「IIJ Omnibusサービス」を開始しました。それを紹介したところ、一気に引き合いが増えてきたんですね。つまり、SDNをやっていくと、今までの運用やポリシーが全部崩れていくので、そこを恐れているわけです。

 ですので、よほどコスト効果がある以外は、もっと簡単にSDNみたいな技術を、全部を変えなくても少しずつサービスで導入できるようなイメージにしてあげると、入りやすくなってきたという事実があります。LANの管理というよりは、セキュリティ系の話がやはり多い。

林賢一郎氏
インターネットイニシアティブ(IIJ) サービス推進本部 サービス推進部長 林賢一郎氏

 SDNではLANのポート、無線AP(アクセスポイント)のSSIDなどと連携できてきますので、アノマリー検知みたいな形で端末の異常を検知して、そのポートをすぐに止めるなど「検疫的なものを組み合わせて端末単位で守れます」といった話をすると、SDNと直接関係あるかどうか分からないんですけど、話を聞いていただけるようになる。こんな状況だと思っています。

 オーバーレイに関してはまさしくその通りで、オーバーレイ以外はあり得ないかなという状況です。マルチベンダーでいろいろな機器が入っているところから、少しずつ機器を入れ換えていきますので、それに関してはオーバーレイでの方が対応しやすい。ループが起こらない範囲でちゃんとコントロールして、特定のセグメントをいろいろなタイミングで変えていければ、目的のネットワークはできると思います。

 あともうひとつ、最近聞くニーズは端末の制御とセットで時間単位にネットワーク機能を提供したいというものです。SDNは確かにプロダクトはあるのですが、やはりもっとアプリ側から簡単に制御できるような形にして、かつ使いやすいサービスにして届ける。本当に数年で実現できると思うのですが、そこまで組み上げて提供できれば、流れは変わってくるんじゃないかと思っています。通信事業者の立場的には機器というよりはサービスという形で進めていますが、IIJの現状としてはそんな感じです。

見える化というメリット

勝浦氏 NECは、SDNがキーワードとして出始めた頃から製品を提供していますが、2011年3月から市場に投入して、4年半ほどになります。最初はデータセンター向けのビジネスが中心でしたが、最近はデータセンター以外にもLANやWANの領域に広げていくことに注力しています。先ほど出ました動的に変えられることやオーケストレーションといったところは非常に有益と見られていると思います。

 一昨年くらいからLANの中にSDNがずいぶん入り始めているというのが実感で、事例でも銀行や病院、鉄道会社などに導入していただいているというのが実態だと思っています。

 例えば鉄道会社では、新サービス導入のためのネットワークの構築が今まで大変でした。終電から始発までの間にネットワークを構築しないといけないという制約がある中で、鉄道会社としては、その間にいろいろなサービスをお客さまに提供していきたいというニーズをお持ちでしたが、鉄道の運行が一番重要なので、新規サービスを迅速に提供できない。そういうときにどうすればいいのかというときに「SDNならサービスの導入が容易にできるから採用してみようか」というところから導入して頂きました。

 また人口が比較的少ない地方自治体の場合、複雑になってしまったネットワークを理解できているのが1人しかいないので、法制度の変更などに迅速に対応するためには、属人化の解消が不可欠でした。ネットワークをSDN化することで、ネットワークがシンプルになり、見える化でき、設定が容易になりました。そのため、新しく入ったばかりの方でもネットワークを設定、管理できるようになりました。

 NECが訴求しているひとつのメッセージとして、ネットワークの見える化ができるということがあります。属人性を排除して、GUIでいろいろ設定したり、新規サービスを柔軟に追加、変更したりできる。そういう特長が比較的規模の小さい地方自治体でも導入が進んでいる一つの理由になるのではと思います。

 先ほど現場と管理者の目線があるという話がありましたが、現場の方と話すと、今のネットワークをどうするのかを悩まれている方が多くいらっしゃいます。データセンターも含めて全部仮想化して、クラウドの世界をどうするかということを検討されているユーザーもいらっしゃいますが、今接している企業や団体の多くは、「今のネットワークをどうすればいいのか、運用管理がもう少し楽にならないのか」などと言われます。

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