また先ほど言ったような属人性や運用の効率性という点で、これまではベンダーごとの資格を取得し、ベンダー固有のCLI(Command Line Interface)を覚えてというネットワーク要員を教育しつつ、実際に導入をすると調達から設計、構築、導入までだいたい3カ月くらいかかることになります。新たな機器を入れるために訓練して資格を取るとなると、その度に多くの費用がかかることになります。
つまり、専門の技術者をどう準備していく必要があるのか。従来はそんな世界でしたが、そこでSDNを使うとGUIで設定もできるし、もう少し楽になりますというところもご評価頂き、導入して頂いているのではと思っております。
あともうひとつ、マネジメント層の方ともお話させていただく機会があるのですが、将来的に企業としてどういう方向に向かっていくべきかというご相談を頂くことがあります。そこで3年後、5年後の将来のあるべき姿を描き、その中でのネットワークの将来像を一緒に考えさせて頂いております。

NEC スマートネットワーク事業部 マネージャー 勝浦啓太氏
その中で「IT部門のリソース」についても議題に挙がることがあります。現状の運用管理でかなり人数を確保しており、例えば、週末に何か作業をしなければいけないなどリソースが発生するのですが、SDNにすることで、業務を止めずに新サービスの導入も可能なので、週末の作業をそもそもなくすことができたり、導入が楽なので導入の要員自体を減らせたりできます。さらにサーバやストレージとネットワークという、ITとNWが融合して境目もなく管理できるような世界を期待されているというお客さまもいらっしゃいます。
最後に注力領域ですが、今、NECではセキュリティとの連携を推進しており「セキュリティの運用をもう少し楽にできないか」というところの実現に注力をしています。セキュリティの視点から見ると、最近はいろいろな標的型攻撃が出てきていて、ここも運用管理者のスキルレベルの差があります。
たとえば、セキュリティ製品が出すSyslog情報をもとにネットワークの設定を変更できます。そのため、セキュリティ製品をセンサとしてポートを遮断するといった、ネットワークでの一次対応をポリシー化して自動化ができますので、セキュリティインシデントに対する初動対応の自動化が可能になります。セキュリティにはお客さまも非常に高い関心を持っていますので、多くの引き合いをいただいております。
また、ソフトウェアとの連携の話がありましたが、われわれとしてはアプリケーションとの連携もどんどんやっていきたいと思っています。例えば、バックアップソフトやファイル転送ソフトなど色々あると思いますが、動的に発生するトラフィックに対してQoSを一時的にSDNで張ってあげるようなニーズも結構あると思っています。
夜間バックアップでも、SDNで動的にトラフィックを制御することで上手くバックアップを終わらすことができる。業務中にバックアップシステムが動くと社内のトラフィック、社内のインターネットが遅くなると言われることも結構あるので、このような業務に影響を与えずに転送を完了させることもできると考えております。
――2011年から始められていると言うことで、4年間くらいで一番感じている変化は何でしょう。
勝浦氏 開始した当時はデータセンターの技術としてSDNに注力してきました。それは今でも主力の市場として継続していますが、データセンター以外にもLANやWANなどへの導入も進んでおり、「SDNが浸透してきた」と感じる局面が増えてきたことです。またSDNを提供するベンダーも増えてきていると日頃の商談から実感するようになりました。
(第2回に続く)