Crayは、欧州中期予報センター(ECMWF)の使用するスーパーコンピュータのアップグレードと拡張に関して、3600万ドル規模の契約を締結した。
ECMWFは、15日先までの中期的な世界天気予報のほか、最大1年先までの月間予報や季節予報も提供する。
英国のレディングにある本部に設置されたデータ処理用のスーパーコンピュータシステムは、気象学の分野で最大規模のものの1つで、世界最大の数値予報データアーカイブを含む。さらに、世界の大気と海洋の高度な予報モデルも実行する。
アップグレードにより、ECMWFはそれらの複雑なモデルをさらに発展させて、より正確な天気予報を提供できるようになる。
2013年6月、Crayは「Cray XC30」スーパーコンピュータ2基と「Cray Sonexion」ストレージシステム1基をECMWFに納入する契約を獲得した。今回の新契約の条件の下、CrayはECMWFのスーパーコンピュータを拡張し、「Cray XC40」システムにアップグレードする。ECMWFは、「Cray Sonexion 2000 Scale-out Lustre」ストレージ、さらにIntelの次世代「Xeon Phi」プロセッサ(開発コード名:「Knights Landing」)を搭載する32ノードの「Cray XC40-AC」システムも追加調達する。
これらの新しいシステムは2016年中に納入される予定だ。
ECMWFのリサーチディレクターを務めるErland Kallen氏によると、このアップグレードにより、同センターは最大で約2週間先までの深刻な天気事象の予報を向上させる高解像度予報を開発できるようになるという。
さらに、より高度なデータ同化法の導入も可能になるので、ECMWFはより多くの地球観測システムを使用し、より詳細かつ高品質な大気組成変動予測を行うことができる。
スーパーコンピューティングはこれまで科学研究目的での使用に限られてきたが、昨今、ビッグデータストアの分析手段を模索する、よりメインストリームのエンタープライズ顧客もスーパーコンピューティングに関心を寄せるようになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。