HPE、リソースプールを自由に切り出せる新基盤「Synergy」を発表

藤本和彦 (編集部)

2016-01-28 07:00

 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は1月27日、物理と仮想の混在環境やオンプレミスとクラウドが共存する“ハイブリッドインフラ”に向けた新プラットフォーム「HPE Synergy」を発表した。

 同社が提唱する“コンポーザブルインフラストラクチャ”を採用し、コンピュート、ストレージ、ネットワークスイッチなどシステムを構成するハードウェアをリソースプール化し、ワークロードにあわせてリソースの可変的な切り出しと組み立てを可能にする。

HPEのNeil MacDonald氏
HPEのNeil MacDonald氏
日本ヒューレット・パッカードの大月剛氏
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 サーバー事業統括本部 事業統括本部長 大月剛氏

 Hewlett Packard EnterpriseでHPE Synergy&HPE BladeSystem, Converged Data Center Infrastructure担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるNeil MacDonald氏は、その必要性について次のように強調する。

 「タクシー配車を手がける新興企業であるUberに代表されるように、アイデアエコノミーと呼ばれる潮流が世界規模で進展している。ITを駆使して斬新なアイデアを素早くサービス化し、即座に市場を席巻するビジネスモデルである。コンポーザブルインフラストラクチャは、俊敏性を重視したクラウドネイティブアプリケーションを展開して新たなビジネスを短期間でスタートさせたり、コストを重視する既存の業務アプリケーションを安定的に運用したりすることを、単一のITインフラ上で共存できる」

 従来のインフラでは、物理や仮想のIT環境を事前に設定し、需要予測を考慮して余剰のリソースを用意していた。オーバープロビジョニングが避けられない状況で、システムの増設とともに複雑になりコストは増大する。

 また、複雑性を隠すための管理ソフトウェアやハードウェア設定のみに対応するテンプレート、複雑なライフサイクル管理など、システムはサイロ化してしまい、管理ツールがシステムごとにあるためアップデートによるダウンタイムも多く発生した。

 運用を自動化しようにも、複数のAPIを組み合わせたり独自技術の運用管理ツールに対応したりなど、実装に多くの工数が必要だった。

 HPE Synergyのサービス基盤は、コンピュート、ストレージ、スイッチなどのファブリック、コンポーザ、フレーム(筐体)の各モジュールで構成される。コンポーネントはモジュールごとに自由に接続&増設できる。

HPE Synergyを構成するサービス基盤
HPE Synergyを構成するサービス基盤(HPE提供)

 「可変的なリソースプール」「ソフトウェアを活用した管理環境」「単一の統合API」を組み合わせてあらゆるサービスを統合する、クラウド型の運用をオンプレミス環境で実現する。

 あらゆるワークロードを稼働させるために必要なリソースをすぐに構成可能とし、余剰リソースや遊休リソースを排除。物理環境、仮想サーバ、コンテナに対応し、ワークロードに応じて柔軟に変わるリソースプールを構築する。

 リソースを自在に構成する単一の管理インターフェースを提供し、複雑性を排除するために最適化された管理環境をあらかじめ組み込んでいる。アプリケーションの特性に合わせ、リソースを構成、撤収、再構成できる。テスト済みのファームウェアとドライバのセットが提供され、シームレスにアップデートを適用できる。

 インフラ全体をプログラム制御可能にする単一のAPIは、インフラの自動化を可能にするオープンな環境であり、HPE Helion、Docker、Microsoft、VMware、Chef、Puppet Labs、Ansibleなどのツールと連携可能だ。

 新製品の詳細は次の通り。価格は未定、2016年春の販売開始を予定している。

コンピュートモジュールの新製品(
コンピュートモジュールの新製品(HPE提供)
ストレージモジュール、フレーム、コンポーザ、イメージストリーマ、ネットワークモジュールの新製品
ストレージモジュール、フレーム、コンポーザ、イメージストリーマ、ネットワークモジュールの新製品(HPE提供)

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