日産の栃木工場、24時間かかったバックアップを2時間に短縮--専用機を導入

藤本和彦 (編集部)

2016-01-28 17:05

 日産自動車 栃木工場 第二製造部は、ファイルサーバのバックアップの迅速化と可用性の向上を目的として、既存のシングルサーバ環境の刷新とあわせて、バックアップアプライアンス「Dell DR4100」を導入した。デル・ソフトウェアが1月28日に発表した。

 「Infinity」ブランドをはじめとする高級車の生産拠点であり、国内で唯一の一貫生産体制を確立している栃木工場。その第二製造部で扱うデータは、動画や画像、音楽といったマルチメディア関連の大容量ファイルが多数を占めている。また、多くの場合は10年以上の長期にわたるデータ蓄積が必要で、全社共通のファイルサーバの割り当て容量では足りず、20年以上前から同部独自にファイルサーバシステムを導入、運用してきた。

 だが、既存のファイルサーバでは、データ量の増大とともにバックアップ時間が24時間以上を要するようになり、業務時間内の処理が難しいだけでなく、レスポンスの低下も頻発していた。さらには、一部のサーバにはバックアップ装置がないためファイル消失時の復元ができず、ディスク障害が発生した際にはデータ復旧に膨大な時間と費用、その間の業務停滞を強いられていた。

 新システムは、x86サーバ「Dell PowerEdge R720」とストレージ「Dell Storage PS6210」を中心に構成。最大容量は81Tバイトまで拡張が可能となっている。これにバックアップアプライアンスのDell DR4100が組み込むことで、災害復旧(DR)機能だけでなく、システムのスケーラビリティや可用性を向上させている。

 ディスク容量が導入以前の20倍となる40Tバイトに増加。各課に割り当てる利用容量の製麺も150Gバイトから1Tバイトに増量した。バックアップデータの保存期間も1カ月から3カ月に延長。

 WMware環境でクラスタ化することで、サーバ単体での更新より費用が縮小、仮想化により追加サーバの購入が不要になった。物理サーバの台数が減り、保守費用とコストを削減した。

 バックアップ時間が大幅に短縮された。当初は1Tバイトあたり約30時間から8時間に短縮することを目標としていたが、実際には2時間未満でバックアップ作業を終えられるようになった。サービス時間のピーク時までバックアップ作業が及ぶことによるレスポンスの低下を解消した。

 計画停電以外のサーバ停止時間がほぼゼロになった。スナップショットを用いたファイル復元、電源喪失時の自動シャットダウン機能による正常なシステム終了が可能となり、可用性と耐障害性を向上した。

 新システムでは導入から運用まで、操作マニュアルと運用サポートが提供され、高いレベルでの安定運用が可能になり、夜間や休日の問い合わせや呼び出したゼロに改善したという。

 今後については、現在は紙文書で流通している重要な情報を電子化してファイルサーバに保管、部署間の壁を越えた検索、閲覧を可能にするシステムの構築を目指すほか、設備修理や標準作業の映像を保存、配信するシステムの構築も計画している。

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