本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、富士通の阪井洋之 執行役員常務と、弥生の岡本浩一郎 代表取締役社長の発言を紹介する。
「IoTを活用したデジタル革新をお客様と“共創”していきたい」 (富士通 阪井洋之 執行役員常務)
富士通 執行役員常務 阪井洋之氏
富士通が先ごろ、センサやデバイスを中心とするIoT(Internet of Things)ソリューション「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE」(以下、ユビキタスウェア)の新製品を発表した。同社執行役員常務でグローバルマーケティング部門長を務める阪井氏の冒頭の発言は、その発表会見で、IoT事業への意気込みを語ったものである。
ユビキタスウェアは、人を中心としたさまざまなデータを高度なセンシング技術で収集して解析し、ユーザー企業が求める価値の高いデータとして提供するIoTサービスである。今回、新製品として、現場のデータを収集、解析するソフトウェア「センサアルゴリズム」や各種センサーを搭載した「コアモジュール」など10種類を発表した。
新製品の詳細な内容については発表資料を参照いただくとして、ここでは阪井氏が発表会見で同社のIoTソリューションの全体像について説明していたので、その内容に注目したい。
阪井氏はまず、「デジタル革新は今やすべての企業にとって大きな課題になってきている」とし、富士通では現在、顧客企業のデジタル革新に向けて約300件の実証プロジェクトを推進していることを明らかにした。
そのデジタル革新を支える同社のIoTソリューションの全体像は図の通りである。同社としては、「プラットフォームからネットワーク、センサ/デバイス、各種業種・業務アプリケーションまで、当社の先進技術を組み込んで提供するとともに、国内外のパートナー企業と協業して適用領域の拡大を図っていく」(阪井氏)というのが基本姿勢だ。
富士通が描くデジタル革新を支えるIoTソリューションの全体像
今回発表のユビキタスウェアは、この図でいうとセンサやデバイスを中心とした領域を指す。プラットフォームとネットワークについては、同社が昨年9月に発表したデジタルビジネスプラットフォーム「MetaArc」が適用される。
このMetaArcには大量のセンサデータを処理するIoTに特化したプラットフォームが装備されており、阪井氏は「とりわけ特許技術55件を盛り込んだダイナミックリソースコントローラ機能によって、環境の変化に応じて最適な分散処理を高速で行えるようになる」と強調していた。