日本株展望

アップル、中国、資源関連は要注意

ZDNet Japan Staff 2016年01月29日 11時29分

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 第3四半期(2015年10~12月)決算の発表が続いている。2015年10月以降、事業環境が悪化し、業績の下方修正を発表して売られる銘柄があり、注意が必要となっている。

 Apple関連(iPhone向けに電子部品を納入している企業)、中国関連(中国の製造業向けに製品を納入している企業)、資源関連銘柄は業況が悪化しており、足元の不振を株価が完全に織り込むまでは投資を控えた方がよさそうだ。

 楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏は、Apple、中国、資源の影響がほとんどない業績堅調な株で株価が下げて割安になってきている銘柄は投資の好機と考えている。

iPhone減産で電子部品株が大きく下落

 1月27日、アルプス電気(6770)が前日比17%安と急落した。前日に発表した決算で今期業績予想を下方修正(連結経常利益見通しを595億円から515億円に引き下げ)したことが嫌気された。iPhoneの販売不振を受けてAppleが1~3月に減産する煽りを受けて、iPhone向けカメラ用アクチュエータ(AF、手ぶれ補正)の在庫調整が必要になった。

 iPhoneは、「ブランドはApple、部品は日本、組み立ては中国」と言われる。世界の最先端の高機能スマホは、日本の電子部品なくして成り立たない。日本の電子部品メーカーにとっても、iPhone向け高機能部品は利益率が高く、重要なビジネスとなっている。

 ところが、iPhoneは販売に波があることが悩みの種だという。予想以上に売り上げが急拡大することもあれば、突然、売り上げが大きく減少することもある。Appleは、製造部門を持たないファブレス経営。製造を外部委託(中国と日本)することで、製造業のリスクを取らずに安定的に高収益を稼いできた。

 裏を返せば、製造業のリスクを日本の電子部品メーカーがかぶっていることになる。Appleは、iPhone販売が急拡大する見通しの時、日本の電子部品会社に増産に備えて投資することを要求する。ところが、今回のように販売が急に減るときは、一方的に減産を通告してくる。その結果、日本のApple関連株は業績変動が激しく、また株価の変動も激しくなりがちになっている。

 Appleの減産は、2015年12月あたりから日本の電子部品メーカーの間で話題になっていた。株式市場でも話題になり、電子部品株は12月からかなり値下がりしていた。

 1月初めに日本経済新聞でAppleの減産見通しについて報道があり、電子部品株はさらに下がった。そして、1月26日にAppleが四半期決算発表と同時に1~3月の減産見通しを公表。これで噂が事実であることが確認された。アルプス電気(6770)は、これを受けて1月27日に業績見通しを下方修正した。

 噂の段階で株価がかなり下がっていたが、事実確認でも改めて売られることになった。Apple関連の電子部品株については、しばらく警戒が必要な状況が続きそうだ。

電子部品株はタイミング判断が難しい

 それでは、Apple関連株はもう投資すべきでないのだろうか? 投資タイミングの判断が難しいが、また投資すべき時は来ると窪田氏は考えている。現在の減産が終わり、次の新製品向けの部品作りこみが始まるとき、Appleから部品の大幅増産の指示が来るタイミングから株価は上昇に転じる見込みだ。

 電子部品株は、Apple関連に限らず、常に受注の急増と急減を繰り返してきた。PCが成長している時代は、半導体(DRAM)関連株、Intel関連株が今のApple関連株と同様の値動きをしていた。

 同じ電子部品でも、自動車向け(車載)部品は、PCやスマホ向け部品のように受注が急変することがあまりない。自動車の電子化が進む中で安定的に使用量が増えている。

 日本電産(6594)は、車載部品の伸びで安定成長が続いている。同社もスマホ向けに触覚デバイスを納入しており、そこにApple減産の影響を受けるが、車載部品の伸びが続いていることから全社業績は好調が続いている。

中国関連株も要注意

 中国経済は二極化している。消費は高成長が続いているが、設備投資にはブレーキがかかっている。日本の中国関連株でも、花王(4452)や良品計画(7453)などの消費関連株は堅調だが、設備投資関連株には警戒が必要だ。

 中国の設備投資関連株では、すでに安川電機(6506)が業績下方修正を発表しているが、1月28日にはオムロン(6645)が業績の下方修正(連結税前利益見通しを710億円から655億円に引き下げ)を発表した。中国向けの制御機器が下半期になってから低調なこと、中国のエアコン減産の影響で電子部品の売り上げが想定以下となることなどが下方修正の要因となった。

資源関連株も要注意

 三菱商事(8058)や三井物産(8031)、住友商事(8053)、丸紅(8002)などの大手総合商社は、資源価格急落の影響が業績にどう影響するか、決算発表で見極める必要がある。資源権益の減損や減配(配当の減額)があると、株価がさらに下がる可能性もある。決算内容を確認するまでは注意が必要だ。

Apple、中国、資源に関係のない銘柄は業績好調

 三井住友FG(8316)など3メガ銀行は、好配当利回り株として投資魅力が高いとの判断はすでに伝えた。まだ決算が発表されていないが、建設土木株も業績好調が続くと窪田氏は考えている。

 また、成長テーマとして、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、ロボット、ドローンなどに窪田氏は期待している。AIは、人間がプログラムしたことを実行する領域を超え、自己学習することで人間が思いつかないソリューションを見つけてくるレベルに達している。

 Googleがプロに勝つ囲碁ソフトを開発したことが話題になっているが、それも進化したAIの成果と言える。新たな領域に入ったAIをディープラーニング(深層学習)と呼ぶ。今後、深層学習関連株も株式市場で話題になるかもしれない。 医薬品(バイオ医薬品)や医療機器にも引き続き安定成長の期待がかかる。

日銀の金融政策決定会合

 1月29日の昼ごろ発表される日銀の金融政策決定会合の結果に注目が高まっている。何らかの追加策が実施される可能性もあるが、大規模緩和は困難な状況だ。追加緩和があってもなくても、それに反応して午後値動きが荒くなる可能性があり、注意が必要だ。

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