海外コメンタリー

マイクロソフトが深層学習ツールキット「CNTK」をGitHubで公開--利点や取り組みの成果 - (page 2)

Chris Kanaracus (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-02-01 06:30

 12月に投稿されたブログ記事によれば、CNTKは最初のリリースから大きく進歩している。

 CNTKと「Azure GPU Lab」を組み合わせることで、「Cortana」の音声認識のための深層ニューラルネットを構築し、トレーニングする速度は、それ以前に使っていた深層学習システムに比べ10倍高速になった。Microsoftのほかの同僚も、「ImageNet」の分類や深層構造意味モデルなどの他のタスクにCNTKを使用している。われわれはCNTKがどれほどの性能を提供できるかを直接経験しており、より広範囲な機械学習や人工知能のコミュニティに、大きな影響を与えられる可能性があると考えている。コミュニティがCNTKを利用し、オープンソースの動くコードをやり取りすることで、より早いペースでアイデアを共有できるようになることを願っている。

 Microsoftが取り組んでいる機械学習に関する研究テーマは、CNTKだけではない。実際、2015年11月には、別のプロジェクトである「Distributed Machine Learning Toolkit」をGitHubで公開している。

 Constellation Researchのバイスプレジデント兼主席アナリストであるDoug Henschen氏は、「深層学習は機械学習の最先端の分野であり、最近では、速度認識や音声検索、マシンビジョンなどの分野で使用されるパターン認識などに急速な進歩をもたらしている。深層学習の重要な特徴は、教師なし、あるいは半教師ありの分析を行うことを重視していることだ。簡単に言えば、これは人工知能分野で広範な研究を行うための基礎的要素であり、Microsoftがオープンソースコミュニティモデルを用いることで、その成果の評判を高め、進歩を早めようとしていることは明らかだ」と述べている。

 GitHubへの移行は、CNTKの露出と普及を大きく後押しするだろう、とHenschen氏は付け加えている。さらに、MITライセンスを採用したことで、開発者はコードをプロプライエタリなソフトウェアと組み合わせて使用することができるという。

 「その一方で、機械学習の分野では、処理速度とスループットは極めて重要だ」とHenschen氏は述べている。「データを高速に処理できるほど、多くのデータを利用でき、より早く学習できる。データが多いほど、機械学習の精度は高くなる」

 「1台のハイエンドGPUサーバでも、GPUベースのマシンの分散クラスタでも実行できる(Microsoftはこれを差別化要因だとしている)CNTKは、開発者に処理速度とスループットのメリットを与えてくれる」と同氏は付け加えた。「もちろん、機械学習研究の分野は動きが速く、今後も競争によって、レベルは上がり続けるだろう。今回のポイントは、Microsoftが機械学習研究の成果を、非常にオープンな形で提供したことだ」(Henschen氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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