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囲碁の欧州王者に勝利した「AlphaGo」に見るナローAIとグーグルのアプローチ - (page 2)

Nick Heath (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-02-02 06:30

 DeepMindのDavid Silver氏によると、囲碁はこのような複雑さのせいで、マシンにとって究めることが難しいゲームとなっていたという。Silver氏は「囲碁では、驚くほど複雑な過程によって支えられる直感が必要となり、そういったものはこれまで、人間の脳にしか存在しないと考えられていた。このため、いずれの対局者が優勢なのかや、どのような手が適切なのかといったことも、人間にしか判断できないと思われていた」と述べた。

 Googleによると、AlphaGoに囲碁を学習させるために採ったアプローチは、気候変動のモデル化や、自社サービスにおけるユーザーとのやり取りの質の向上といった、より難しい問題の解決にも応用できるという。

 Silver氏は、同様の強化学習手法を医療分野に適用することで、「個々の患者のカルテや生活習慣に基づいて、(どういった治療が)最善の結果をもたらすのか」を判断できるような、パーソナライズされたヘルスケアへの道が開かれるという例について述べた。

 さらに重要な点としてHassabis氏は、今回の成果が人間と同じ汎用的な能力と理解力を持つAIを作り上げるという、さらに大きな目標に向かった進歩であると捉えている。

 「ほとんどのゲームはプレイしていて楽しく、人生における何らかの局面を切り出した小宇宙となるように作り込まれている。ある意味において、ちょっとした制限や単純化があるかもしれないが、そのおかげで汎用の人工知能を構築するうえでの理想的な取っかかりとなるわけだ」(Hassabis氏)

 Google以外の大企業も、同様のAIイニシアティブを推し進めている。Facebookは最近、画像に写っている人や物を認識したり、積み上げられたブロックがいつ倒れるのかといった現実世界で起こる事象を予想できるようなディープラーニング(深層学習)システムを公開した。

Googleが汎用AIではなく、ナローAIを追求している理由

 Oxford Centre for Theoretical Neuroscience and Artificial Intelligence(オックスフォード大学理論神経科学及び人工知能センター)のディレクターであるSimon Stringer氏によると、AlphaGoのようなディープラーニングシステムは、画像に写っている物や動物を特定したり、ゲームを究めるといった特定のタスクには向いているという。しかしこのようなシステムは人間の脳とは大きく違ったかたちで機能するため、人間のような汎用的な知性の開発に向けた進歩として捉えるべきではないという。同氏は、こうした開発には生物学に基づくアプローチが必要だと考えている。

 同氏は「意識という問題を解決しようとした場合、これらのシステムが使用しているアルゴリズムの類では解決できないだろう」と述べた。

 「われわれは皆、月に到達したいと考えている。上述したシステムは目標に向けた階段を、われわれよりも先に何段か上っている。しかし、われわれは長期的な観点から、月に向かうロケットを作り出そうとしているのだ」(Stringer氏)

 「彼らがさまざまな応用分野で有益なアルゴリズムを開発するのは間違いないが、われわれが実際に興味を持っているすべての応用分野に対しては、そういったアプローチではうまくいかない」(Stringer氏)

 Stringer氏は、DeepMindのように、古典的なアーケードゲームのプレイや、囲碁の対局に特化してシステムを学習させていくという強化学習アプローチは、動物や人間が現実世界の知識を獲得する方法に比べると限界があると述べた。

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