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日本株展望

マイナス金利が銀行、生損保、その他金融に与える影響 - (page 3)

ZDNet Japan Staff

2016-02-02 11:02

アコムが急騰する中で、三菱UFJが急落した理由

 昨日の株価変動を見ると、アコム(8572)が急騰する中で、三菱UFJ FG(8306)が急落している。アコムは利ざやが拡大する期待が出たので、株価が急騰した。三菱UFJが利ざや縮小の懸念で売られたのと対照的だ。

 アコムの利ざやは主に信用力差で構成されているので、長期金利が低下しても利ざや低下の懸念が生じない。一方、三菱UFJの利ざやは、長短金利差と信用力差から構成されているので、長短金利差が消滅する分、マイナス影響が及ぶことが懸念された。

 アコムは、信用力が低い個人向けに高金利の無担保ローンを貸し出している。貸し出し金利は、年率4.7~18.0%と高水準に設定されているが、貸し出し金利は主に貸し出し先の信用力によって決まる。したがって、長期金利が低下しても、貸し出し金利に下げ圧力が及ぶとは考えられない。

 アコムは貸し出しに使う資金を主に銀行から借り入れている。アコムの借り入れ金利は、マイナス金利の導入で低下が見込まれる。マイナス金利の導入で、貸し出し金利は下がらず、借り入れ金利が下がり、利ざやが拡大する期待があることから、アコムなど消費者金融株は急騰した。

 一方、アコムの親会社である三菱UFJの株価は急落した。三菱UFJは大企業向けの貸し出しが多いというイメージがあるので、利ざや縮小が懸念された。ただし、実態は、三菱UFJでも中小企業貸金や個人向けの貸金は増やしてきている。信用力格差による利ざやは三菱UFJでも残ると考えられるので、昨日の株価急落は過剰反応だと思われる。

 現に、三菱UFJは、子会社アコムを通じて、消費者金融も手がけているわけだ。マイナス金利が導入されても、信用力の低い個人向けローンの利ざやが縮小することはない。

 最近、住宅ローンの金利が急激に低下していることが話題になっている。個人向けの住宅ローン金利がここまで低くなったことは、銀行の収益にとって大きなマイナスだ。ただし、ここで誤解してはならないことが1つある。日本の住宅ローンは、大企業向け貸付と同様に、焦げ付きが少ないという事実だ。

 日本の住宅ローンは、事実上、大企業並みの高信用ローンであるといえる。だから、貸付金利がどんどん低くなるわけだ。同じ個人向けのローンでも、焦げ付きの大きい無担保ローンでは、依然として高い金利が残っている。

預貸率(預金のうち貸金に回す比率)の低い金融機関にはダメージ大

 地方の中小金融機関には、有望な貸出先がなく、集めた預金のほとんどを国債で運用しているところもある。そのような金融機関は、長期金利の低下で大きなダメージを受ける。

 預金を集めて国債を買って得られる利ざやは、長短金利差だけで構成されていることになる。期間の短い預金で集めた資金を、期間の長い国債で運用していることだけが、利ざやの源泉ということになる。

 長期金利が0.06%まで下がったことで、新規に投資する国債では経費をまかなうことができない。過去に購入した金利の高い国債が残っている間は、一定の利ざやが得られるが、低金利が長期化すると、利ざや消滅のリスクが高まる。

 ゆうちょ銀行(7182)は、これから運用の多様化、業務の多様化を図っていくことで収益拡大を狙うが、これまで貸付をほとんど行わず、ほとんど国債中心に運用してきたツケはかなり重いと考えられる。長期金利の低下が急激だっただけに、来期以降、収益の縮小がしばらく続くリスクが高まった。

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