平和は訪れるか
技術的な目標が変化し続けることは、ソフトウェアが作られないことにもつながる。現在の環境は、企業のプロジェクトが大きくなるには、リスクとなる側面が強いからだ。技術的なイノベーションの水準と成長が釣り合うためには、なんらかの均衡を必要とする。
Cutting氏は、「わたしは、今世紀がデータの世紀となるにつれて、Hadoopが今後も大きな役割を演じることを期待している」と記事を締めくくっている。データとアナリティクスが今世紀全体を代表する技術になるかどうかは不明だが、おそらく今後10年から20年にわたって、大きな影響力を持つことは確かだろう。今後は重複と競争ばかりではなく、もう少し協調性と互換性のある標準の開発が進むことを期待したい。停滞した状態には戻って欲しくないが、この市場が業界や顧客にとってメリットのある、見通しのいい市場になってくれることが望ましい。
激しい競争
同じ週、この業界ではHadoopの10歳の誕生日以外にも多くの発表があった。
- Pentahoは同社の「Data Integration」スイートにPythonを統合した。
- Paxataは「Winter '15」バージョン(2016年にもかかわらず)をリリースした。これには、自動IDナンバリングと操作時に生じた欠損値の自動挿入、レコメンデーションに適したアルゴリズム、LDAPおよびSAML(シングルサインオンが可能になる)の統合などが含まれている。
- 予測的アナリティクス製品を提供しているSkyTreeは、間もなく製品のシングルユーザー版を無料でリリースすることを発表した。近日中に正式な発表がある。また、やはり予測的アナリティクス製品を扱っているRapidMinerも、ユーザーインターフェースを一新したバージョン7をリリースしている。
- NoSQLベンダーのAerospikeは、同社のデータベースの新バージョンをリリースした。このバージョンでは、地理空間データのサポート、クラウド環境での安定性向上、サーバーサイドでのリストおよびマップデータ構造のサポートなどが追加されている。
今後のHadoop
この週には多くの出来事があった。もし触媒としてのHadoopの存在がなければ、これほど活発な業界になっていたかは疑問だ。気候変動、金融市場、地政学、原油価格などに関するグローバルな問題がますます不透明性を増す中、テクノロジ業界のデータ関連市場は成長し続けている。ビッグデータ関連のテクノロジは、世界が抱える大きな問題のいくらかを解決する、あるいは少なくとも理解する助けになるかもしれない。
それができないのであれば、今世紀をデータの世紀と呼ぶのは相応しくないのではないだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。