ゲヒルン、新レンタルサーバを正式版に--イベント通知やメール送受信APIを追加

田中好伸 (編集部) 2016年02月03日 11時04分

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 ゲヒルンは2月1日、同社が提供する「Gehirn Web Services(GWS)」新版の正式サービスを開始した。2015年4月からパブリックプレビュー版として公開。利用できる品質に到達したと判断して正式サービスにした。旧版サービスのユーザーの移行作業を考慮して、4月1日から課金する。3月末までは全ユーザーが無償で利用できる。

 新版のGWSは、「Gehirn Infrastructure Services(GIS)」とユーザーを認証し、請求情報を管理するための「Gehirn ID Center」で構成。GISは、レンタルサーバサービスの「RS2 Plus」、DNSサービスの「DNS」、オブジェクトストレージサービス「KVS(Key Value Storage)」、イベント通知サービスの「EDJ(Event Delivering Junction)」、メール送受信APIサービスの「MTA」で構成される。これらのコンポーネントを自由に組み合わせることができる。

 RS2 Plusは、Linuxに標準で搭載される仮想化機構「KVM」でサーバに専用区画を設けている。共用サービスにありがちな、ほかのユーザーの負荷を限りなく低減できるという。プロセス空間やファイルシステムも分離し、サーバのリソースを公平に分配することで安定性を高めたとしている。

 RS2 Plusで利用できるウェブサーバは、ApacheとNginx、TCP転送から撰べる。Apacheは既存のレンタルサーバの使い心地、.htaccessを使えることがメリットになる。Nginxは、RS2 Plusのコントロールパネルから設定を編集することでさまざまにカスタマイズできるようになっている。TCPリバースプロキシは、HTTPやFastCGI、WSGIから選んで任意のポートに接続できる。WebSocketにも対応しているため、TCPリバースプロキシと組み合わせてリアルタイムのアプリケーションも利用できる。

 データベースはMySQL 5.5。データベースも共用ではなく専用のプロセスにすることで安定性を保つようにしている。利用できる言語はPython 2.7/3.4、Ruby 1.9.1/2.0、PHP 5、Node.js 0.10.25、Java、Go 1.2.1などがセットアップされている。

 RS2 Plusでは、データ保護の仕組みを多重に組み合わせている。具体的には、スナップショットやRAID 6、1日1回の増分バックアップだ。スナップショットは、ユーザーの任意のタイミングで手動で取得できるとともに、最短30分から自動取得のサイクルを回すこともできる。

 ディスク障害への対応策としてRAID 6を採用。ハードウェア障害への対策としてAmazon S3(東京リージョン)へのバックアップを1日1回自動で送る仕組みも採用している。オプションとしてアーカイブイメージを保存することもできる。このアーカイブは、どの世代まで保存するかも指定することも可能だ。

 RS2 Plusの前版となる「RS2」は個人のプログラマーが使えることを想定したレンタルサービスだが、実際には中小企業が使っていた。今回のRS2 Plusでは、中小企業も含めた法人での利用を想定している。

 そのため、1つの契約で複数のユーザーが使うことを想定して、権限を分離できるようになっている。たとえば、マネージャーがすべての権限でアクセスできるが、ほかのユーザーはサーバの中にあるデータを読むだけといってことも可能になる。誰が料金を支払うのかといったことも設定できるようになっている。アプリケーションごとにパーミッションを分離させることも可能だ。

 4月から課金されるが、RS2 Plusのメニューは「ショート」「トール」「グランデ」の3種類。いずれも初期費用なしで1日単位で利用できる。決済手段はクレジットカードのみとなっている。

 1日40円のショートは、仮想CPUが2コア、メモリが1Gバイト、ディスクが30Gバイト。1日60円のトールは仮想CPUが3コア、メモリが1.5Gバイト、ディスクが45Gバイト。1日80円のグランデは、仮想CPUが4コア、メモリが2Gバイト、ディスクが60Gバイトとなっている。価格は税別料金。

 RS2 Plusはセットアップからバックアップ、リソースやセキュリティパッチの管理などをゲヒルンが担う。このことから今回のサービスについて「マネージドホスティングサービス」と表現。「ほかのホスティングやレンタルサーバとは異なる。ベストプラクティスを提供する」と意義を強調している。

 GWS新版で今回新たに追加されたのがイベント通知サービスのEDJとメール送受信APIサービスのMTAだ。

 EDJは、MTAやウェブAPIから送られるリクエストを受け取ってから別なウェブサービスにデータを配信するという機能が中核。EDJがデータを配信する対象はMTAのほかに、チャットサービスの「Slack」やクラウド電話APIの「Twilio」、通知専用モバイルアプリの「Pushover」がある。これとは別にHTTP/HTTPSの任意のウェブAPIにポストしたり、IRCにメッセージを投稿したりといったこともできる。

 EDJを活用すれば、ウェブサイトへのアクセスが急激に増加したという情報を手元のスマートフォンに通知するなどの使い方が可能だ。このほかにも、MTAでメールを受信したモノをJSON形式でウェブAPIにフックする、受け取ったメーリングリストのメールをSlackに流す、ニュースをモバイル端末にプッシュ通知する――という風に使える。

 EDJの税別料金は、1配信で0.02円となっている。

 一方のMTAは、ゲヒルンがゼロから開発したというメール送受信APIサービス。「プログラマーが使いやすいメール」というMTAは、受信するメールを自由に処理できるという。受信したメールをJSON形式に変換して通知でき、前述のEDJを経由してウェブAPIに通知すると、メールサーバを構築しなくても、ウェブアプリケーションとメールを構築できるとメリットを説明している。

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