海外コメンタリー

「Windows 10」は有償になるのか?--マイクロソフトが握るアメとムチ

Ed Bott (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-02-08 06:00

 今後数年のうちに「Windows 10」搭載デバイスの数を10億の大台に乗せるというMicrosoftの野心的計画が実現するかどうかは、同OSへの無償アップグレードプログラムの成功に大きく依存している。

Windows 10を搭載するノートPC

 Microsoftによって2015年5月に最初に発表された同プログラムの詳細には、ちょっとしたただし書きが含まれていた。その内容は後になって、少しばかり変更されてはいるものの、無償アップグレードの提供期間は、Windows 10のリリース日から1年間という点に変わりはない。

 以下は、本記事執筆時点でMicrosoftのウェブサイトに掲載されている、無償アップグレードに関する説明だ。

無償アップグレードは簡単です

既に100万人を超えるユーザーがアップグレードして、ご好評をいただいています。どうぞ安心してアップグレードしてください。2016年7月28日までにアップグレードを完了すると、通常版のWindows 10が無料で手に入ります。試用版や簡略版ではありません。

 そして、同ページの下部に記載されているただし書きは現在、以下のようになっている(強調はZDNetが追加)。

Windows 無償アップグレードの詳細
※クリックすると拡大画像が見られます

 実際のところ、このアップグレードにおけるMicrosoftの真の目標は、Windows 10搭載デバイス数を10億の大台に乗せることだけではない。長期的な目標として、「Windows 7」の延長サポートが終了する2020年の1月14日までに、同OSを静かに退役させるというものがあるのだ。

 Windows 7が稼働するPCのなかには、そのままお払い箱になるものがあるのはもちろんだ。しかし、まだ数年しか使用されておらず、これから4年以上使用できそうなPCについてはどうだろうか?2020年を迎えてもまだ、何百万台というPC上でWindows 7が稼働しているという見通しは、Microsoftに「Windows XP」のサポート切れにまつわるごたごたを思い起こさせるはずだ。

 2016年7月29日が訪れた際に起こり得るシナリオとして、筆者は以下の3つがあると考えている。

シナリオ1:Microsoftは当初の期限を変更せず、Windows 10へのアップグレードを有償にする

 過去を振り返れば、前例はいくつもある。Windows 7と「Windows 8」では、リリース当初にアップグレードの大幅な値引きが実施され、値引き期間は数カ月後、延長されずに予定通りに終了した。今回も同じことが起こる可能性は否定できない。しかし、それは理にかなっているだろうか?

 そうとは言えない。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]