今後数年のうちに「Windows 10」搭載デバイスの数を10億の大台に乗せるというMicrosoftの野心的計画が実現するかどうかは、同OSへの無償アップグレードプログラムの成功に大きく依存している。

Microsoftによって2015年5月に最初に発表された同プログラムの詳細には、ちょっとしたただし書きが含まれていた。その内容は後になって、少しばかり変更されてはいるものの、無償アップグレードの提供期間は、Windows 10のリリース日から1年間という点に変わりはない。
以下は、本記事執筆時点でMicrosoftのウェブサイトに掲載されている、無償アップグレードに関する説明だ。
無償アップグレードは簡単です
既に100万人を超えるユーザーがアップグレードして、ご好評をいただいています。どうぞ安心してアップグレードしてください。2016年7月28日までにアップグレードを完了すると、通常版のWindows 10が無料で手に入ります。試用版や簡略版ではありません。
そして、同ページの下部に記載されているただし書きは現在、以下のようになっている(強調はZDNetが追加)。
実際のところ、このアップグレードにおけるMicrosoftの真の目標は、Windows 10搭載デバイス数を10億の大台に乗せることだけではない。長期的な目標として、「Windows 7」の延長サポートが終了する2020年の1月14日までに、同OSを静かに退役させるというものがあるのだ。
Windows 7が稼働するPCのなかには、そのままお払い箱になるものがあるのはもちろんだ。しかし、まだ数年しか使用されておらず、これから4年以上使用できそうなPCについてはどうだろうか?2020年を迎えてもまだ、何百万台というPC上でWindows 7が稼働しているという見通しは、Microsoftに「Windows XP」のサポート切れにまつわるごたごたを思い起こさせるはずだ。
2016年7月29日が訪れた際に起こり得るシナリオとして、筆者は以下の3つがあると考えている。
シナリオ1:Microsoftは当初の期限を変更せず、Windows 10へのアップグレードを有償にする
過去を振り返れば、前例はいくつもある。Windows 7と「Windows 8」では、リリース当初にアップグレードの大幅な値引きが実施され、値引き期間は数カ月後、延長されずに予定通りに終了した。今回も同じことが起こる可能性は否定できない。しかし、それは理にかなっているだろうか?
そうとは言えない。