金銭面から見れば、1年後に無償アップグレードプログラムを終了させる理由はない。小売り向けライセンスのアップグレード料金は以前から、Microsoftの売上高のほんの一部しか占めていない(この記事のグラフを参考にしてほしい)。また、有償でもアップグレードするという顧客のほとんどは、既に無償アップグレードを済ませているはずだ。
1年間の無償アップグレード期間を見送った既存のWindows 7ユーザーに対して、アップグレードのために99ドル以上支払うよう求めるのは、アップグレードへの道を永久に閉ざすようなものだ。そうなれば、2020年にWindows XPの時のような混乱が巻き起こるリスクが大幅に高まるはずだ。
筆者は、このシナリオが現実になる確率は著しく低いと考えている。
シナリオ2:Microsoftは無償アップグレード期間を無期限に延長する
期限を設定する目的は、アップグレードの決断にある種の切迫感をもたらすことにある。今すぐに行動を!この機会を逃さないように!というわけだ。
Microsoftは無償アップグレードプログラムが終了する日に、同プログラムは大きな成功だったと宣言したうえで、期間を延長することも理論的には考えられる。
しかしこの戦略は、何でもできる限り先延ばしにするという人々に対して今後の言い訳を与えるだけだ。そうした戦略は同社の目標にも沿わないため、筆者はこのシナリオの可能性も極めて低いと考えている。
シナリオ3:新たな「無償アップグレードプログラム」が提供される
Microsoftは2016年の前半に、Windows 10の次期大型アップデート(開発コード名:「Redstone」)を計画している。Windows Insider Program(Windowsインサイダープログラム)の参加者は現在、Redstoneの初期のプレビュービルドをテストしているところであり、その最新ビルド「Build 14251」のリリースを発表するブログ投稿には、まもなく新機能が搭載され始めるだろうと記されている。
われわれは、Windows 10に対する次の機能アップデートを実施するための新たな開発サイクルを開始した。これは、新機能を搭載したコードを統合するなか、開発チームが大量の新規コードをチェックインするということを意味している。
Microsoftは「Windows as a Service」という新たなモデルの下、毎年2〜3回のペースで新たなリリースを計画しているという。このため、Redstoneが2015年11月の「November Update」(「Version 1511」、開発コード名:「Threshold 2」)の6カ月後にリリースされると仮定しよう。するとリリースは2016年5月になるため、同社は無償アップデート期間が満了するまでの残り2カ月間で、アップデートを見送ってきた人たちに向けて最後の一押しができるはずだ。
そして、2016年7月29日がやって来るというわけだ。これは、アップグレードプログラムのそれまでの成果を述べるとともに、成功を受けて期限を一定期間延長すると述べるまたとない機会となる(期限によって切迫感がもたらされるという点を思い出してほしい)。