Dockerは1月下旬、ユニカーネルOSを手がけるUnikernel Systemsの買収を発表した。このニュースを目にした筆者は、それがMicrosoftにとってどのような意味を持っているのかについて考えてみた。
提供:Docker
DockerとMicrosoftがここ数年でますます親密な関係を築いてきているのは公然の事実だ。そして、ユニカーネルというOS形態は、Microsoftが大いに興味を抱いているIoT市場で重要なものとなっている。
しかし、筆者がこのニュースに興味を引かれた理由は他にもある。Microsoftの「Drawbridge」はユニカーネルなOSだと考えられており、Unikernel.orgのプロジェクト一覧にも挙げられている。ユニカーネルは、個別のソフトウェアコンポーネントのように動作する特殊なOSカーネルだ(ユニカーネルの概略についてはACMの素晴らしい記事を読んでほしい)。
筆者はMicrosoftに対して、DockerのUnikernel Systems買収に関するインタビューの可否を尋ねてみたが、誰もコメントしないだろうという答えが返ってきた。
当然だがDockerからも、同社の買収がMicrosoftに与える意味合いについてのコメントは得られなかった。しかし、Dockerは同社がUnikernel Systemsを買収した理由とともに、Docker関連のニュースに目を通している人たちが、この市場の進歩をどのように捉えているのかについて語ってくれた。
Dockerはアプリケーション配備を自動化するオープンソースのエンジンだ。これは、仮想マシン(VM)の代わりにコンテナを使用することで、同一サーバ上で複数のアプリケーションの同時実行を可能にしている。そしてMicrosoftは、「Microsoft Azure」上で稼働しているLinux上で、ユーザーがDockerアプリを実行できるようにしている。またMicrosoftは最近、「Windows Server」上でDockerをサポートするためにDockerと提携している。
Dockerのエンタープライズマーケティング担当バイスプレジデントDavid Messina氏は「われわれはユニカーネルがコンテナの延長線上にあるものだと捉えている」と述べるとともに、「ユニカーネルはマイクロサービスの世界で非常に重要な役割を担っている」と述べている。
ネットワークルータやストレージ機器といった製品を製造している組み込み機器ベンダーの多くは、ユニカーネルに興味を抱いている。Dockerの考えによると、ユニカーネルにはより小さく、よりセキュアなアプリケーションの開発を可能にする素地があるため、ゆくゆくはクラウドのワークロード向けとしても採用されるようになるという。