CA Technologiesは2月4日、DevOpsの採用に関する世界規模の調査結果を発表した。それによると、全回答者のうち71%がDevOpsの採用を進めている中で、DevOpsの成功に必要なすべての取り組みが完了していると回答した先進的なDevOps採用者は20%にとどまったという。一方、日本では54%が採用を進めていると回答し、そのうち先進的なDevOps採用者は12%だった。
調査は「Assembling the DevOps Jigsaw(DevOpsのパズルを組み立てる)」と題し、CAの後援によりIT業界専門調査会社のFreeform Dynamicsが、16カ国9業種にわたる1442人のIT部門と業務部門の幹部に対し、世界規模のオンライン調査を2015年7月に実施した。さらに、主要な業界幹部への詳細にわたる電話インタビューで内容を補強している。
レポートではDevOpsを成功させるために取り組むべき9つの課題を特定、IT部門と業務部門の幹部のうち80%以上が、これらの課題を達成することでDevOpsの効果を最大限に高めるられると認めているという。9つの課題は(1)ビジネス主導の取り組み、(2)協力的で熟練したIT部門、(3)主な実現要素と管理体制――の3つに分類され、それぞれビジネスステークホルダーの教育、機能横断的なITプロセス、セキュリティ/コンプライアンス対策などを含む。
ビジネス主導の取り組み
DevOpsはビジネスの俊敏性を促進し、顧客ニーズに対応する上で重要な要素とされるが、「DevOpsの戦略と目標を明確に定義している」と回答した割合は、全体では半数をわずかに上回る55%、日本では47%という結果となった。
また「ビジネスステークホルダーの教育」や「ITと業務間の優先度の調整」が重要であるとの回答は全体では86%に及ぶものの、これらを実施済みと回答した割合はそれぞれ33%、37%にとどまる。さらに日本では、実施済みと回答したのがそれぞれ13%、17%のみと、取り組みに大きな遅れが生じていることが分かった。
主な実現要素と管理体制
開発チームと運用チームは、各チームにおいて最新の方法と自動化技術を採用している一方で、全回答者のうち63%、日本では72%が適切なインフラストラクチャとツールの使用に関して課題が残っていると回答している。
また全体では46%、日本では51%がセキュリティ/コンプライアンス対策に取り組んでいるが、DevOpsに関する取り組みの大部分は実用化プラットフォームとリスクマネジメントの面で十分にサポートされていないことが明らかとなった。
CAでは、DevOpsを成功させるためには時間、努力、綿密な計画が必要となるが、それだけの労力を割くだけの価値が十分にあるとしており、調査結果によると、先進的な採用者は非採用者と比較して既に下記の業務上のメリットを得ているという。
- 顧客維持率の向上:非採用者の2.5倍の顧客維持率を実現
- 顧客獲得率の向上:非採用者の2倍の顧客獲得率を実現
- 市場シェアの拡大:非採用者の3.4倍の市場シェア拡大を実現
- 売上高の向上:非採用者の2倍の売上高向上を実現
- 利益率の向上:非採用者の2.4倍の利益率向上を実現
CA TechnologiesでDevOps担当ディレクターを務める渡辺隆氏は、次のようにコメントしている。
「DevOpsの可能性を最大限に活用するために、企業のIT部門は、適切な技術を身につけ共同作業するだけでなく、ITの実現に必要な人物を配置し管理する必要があります。CAのDevOpsソリューションはアジャイル開発手法に基づいて開発され、変化が激しく加速するビジネス環境において顧客がデジタルイニシアチブによって競争優位性を向上できるようサポートする上で重要な役割を果たします」