海外コメンタリー

ロボット革命が労働の未来を変える--流れを読み解く6つのポイント - (page 2)

Hope Reese (TechRepublic) 翻訳校正: 編集部

2016-02-09 06:00

従来型の労働経済モデルへの挑戦

 Ross氏によると、半熟練労働者の仕事はすぐにでもロボット化される可能性があるという。億単位の半熟練労働者を抱える中国では、ロボット化が社会に多大な影響を及ぼすだろう。「人間とロボットの費用対効果において、半熟練労働者の市場に生まれた新たな均衡点が、中国社会に与える影響は計り知れない」とRoss氏は語る。

 一方で米国の労働市場は、中国に比べれば高コストになっている。過去20年間、ロボットに置き換えられてきた最大の労働力はブルーカラーだ。

 Ross氏は次のように述べている。「米国では、特定の産業分野と特定階層の国民はロボット化の多大な恩恵を受けるだろう。既存の富豪はさらに資産を殖やし、大勢の新たな富裕層が誕生する」。ロボット分野やエンジニアリング分野では、新たな雇用が創出されるという。その一方で、膨大な数の労働者が職を失う。また、これまで主に単純な反復作業の現場で推し進められてきたロボット化が、今後は「高度な判断力を求められる職業も浸食し始める」という。「次なるロボット化の大波は、それほど高度な判断力を必要としない、反復作業が中心のホワイトカラー層を直撃する」

 そしてRoss氏の身近な人間も、この大波から無縁ではいられないようだ。同氏の父親はウェストバージニア州で不動産関連の弁護士として働いているが、業務の大半は書類に署名を集めることである。この種の仕事は、ロボット化が進めば人間は不要になるかもしれない。「人工知能とブロックチェーン技術の融合が進めば、父が45年にわたり心血を注いできたような仕事は、駆逐される可能性があると結論せざるを得ない」(Ross氏)

文化的な違い

 Ross氏は、本格的なロボット化の口火を切るのは東アジア諸国だと考えている。その理由は、文化的な背景の違いである。欧米人は一般的にロボットに対する忌避感が強いが、精霊信仰の歴史を持つ東アジア諸国には、人工知能やロボットを受け入れやすい土壌があるという。「東洋は西洋に比べ、ロボットに対する文化的な忌避感が少ない」とRoss氏は語る。

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