テックビューロは2月5日、プライベートブロックチェーンPaaS「mijinクラウドチェーン」のオープンβプログラムを同日から開始すると発表した。この環境は一般に公開され、同社が無償で提供するウォレットアプリケーションを使用することにより、仮想通貨の発行や金融機関の模擬などの様々な実証実験が実施できるという。
ブロックチェーン技術(テックビューロ提供)
同社では、自社開発のプライベートブロックチェーン構築プラットフォーム「mijin」を2016年夏に世界で販売開始することを目指し、mijinの最終的な汎用化と最適化を進めている。
mijinクラウドチェーンは、mijinのPaaS版。2015年12月に実証実験環境として「mijinクラウドチェーンβ」発表し、15カ国167企業から申し込みがあったという。今回のオープンβプログラムは、その共用版に相当する。全ての機能は両プログラムで共通しており、前回とは異なる点は、使用するネットワークが他の多数のβテスターと共用となる点のみ。
同プログラムの特徴は以下の通り。
ウォレットアプリケーション「Light Wallet(ライトウォレット)」
Light Walletは、mijinネットワーク上で使える無償のウォレットアプリケーション。Windows環境で動作し、mijinのネットワークに接続することにより、ブラウザから独自の仮想通貨やアセットを自由に発行することが可能。
アセット発行時には、小数点以下の桁数や、発行総数、必要手数料など詳細な設定が可能。発行された仮想通貨(トークン)は、ブラウザ上の同アプリケーションから送金や管理が可能であり、無駄なコストや工数をかけることなく、その場で今日から仮想通貨や独自トークン、ポイント、銀行、電子マネーなどの実証実験を開始することができる。
Light Wallet画面(テックビューロ提供)
さまざまな実験が可能なフル機能環境
mijinでは、ドメイン概念である「namespace」が実装されており、その下に設定の異なったアセットをツリー状に複数作成することができる。
下図の例では、米ドル残高と日本円残高を「mijin」というネームスペース下の「fiat」というサブスペースで管理し、ポイント残高を別途「mijin」のネームスペース下で直接管理している。この構造を組み合わせることにより、数字の残高に限らず、ブロックチェーン上で複雑なアセット管理とアプリケーションが設計が可能。
(テックビューロ提供)
同プログラムで提供されるmijinネットワークでは、このnamespaceや、既に実装されている「multi-signature(複数鍵署名)」などを含む全ての機能が利用できる。また、Light Walletからだけではなく、用意されたAPI上にアプリケーションを作成することも可能で、単なる仮想通貨やポイントサービスに限らず、認証システムからアセット管理、取引所、メッセージングなど、様々な実証実験が実施できる。