Microsoftが「Enterprise State Roaming」のパブリックプレビューを開始した。これは、ビジネスユーザーが複数の端末間で設定を同期できるようにする「Windows 10」の機能だ。
「Windows 8」以降、「設定の同期」機能により、消費者は個人的なMicrosoftアカウントとクラウド上の消費者向け「OneDrive」フォルダを使って、自分のすべての「Windows」端末間でOS設定と「Universal Windows Platform」アプリケーションデータを同期できるようになった。
Enterprise State Roamingはそれと同じ機能をビジネスユーザーに提供するが、使用するテクノロジが異なる。データは「Azure Active Directory」(Azure AD)のIDを使って「ローミング」され、「Microsoft Azure」クラウド上のストレージに保存される。それにより、法人所有のAzure AD参加済み端末間で、OS設定やテーマ、Wi-Fiパスワードを共有することが可能になる。さまざまな端末に頻繁にログインする人にとっては、便利な機能だ。
Microsoftによると、Enterprise State Roamingを使えば、企業のデータが消費者向けクラウドアカウントに紛れ込むことはなくなるという(消費者のデータが企業向けクラウドアカウントに紛れ込むこともなくなる)。データは「Azure Rights Management」(Azure RMS)を使って、ユーザーの「Windows 10」端末から出て行く前にすべて自動的に暗号化されるという。設定名やWindowsアプリ名などの名前空間を除くすべてのコンテンツは、暗号化された状態が維持される。MicrosoftはEnterprise State Roaming向けにAzure RMSを無料で提供している。
Microsoftによると、そのデータは、Azure ADディレクトリに関連付けられた国に基づくAzureリージョン内に保存されるという。MicrosoftのWindows Server and Services部門でシニアプログラムマネージャーを務めるGunjan Jain氏は、「当社の一部の法人顧客にとって、自らの地理的な境界内にデータを留めておくことがコンプライアンスの観点から重要であることは、われわれも認識している」と述べた。
今回のパブリックプレビューは米国と欧州のみで利用可能だが、Microsoftによると、「近い将来」、全世界で提供する計画だという。
組織がEnterprise State Roamingを実装するには、「Azure Active Directory Premium」のサブスクリプションとWindows 10(バージョン1511、ビルド10586以降)が必要だ。端末はAzure ADに参加している、またはAzure ADへの自動登録を含むADドメインに参加している必要がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。