スマートマシンは医療や農業、製造など、さまざまな領域での活用が見込まれている。たとえば、AIプラットフォーム上で動作するがん診断を支援する医療用アプリケーションなど「分野別アプリケーション」が充実し、活用されていくことになるだろう。
以上のように、スマートマシンの場合は、マシンからアプリケーションまで、さまざまなレイヤを組み合わせた運用が必要であり、レイヤを超えてスマートマシンのシステムを構築し運用する「インテグレーター」が企業ユーザーにサービスとして提供していく動きが拡大していくと考えられる。

さらに、認証やセキュリティ、データのバックアップなど、さまざまな「サービスパートナー」との連携による、新たなエコシステムの形成も進んでいくだろう。
これまで、IT業界において、SI事業者(システムインテグレーター)や、CI事業者(クラウドインテグレーター)などが重要な役割を占めていたが、今後は、ドローンやロボットなどをインテグレーションするスマートマシンインテグレーター(新たなSI事業者)への注目度が高まっていくことになるだろう。
企業におけるスマートマシンの活用
今後、企業ユーザーは、事業の拡大、新たなビジネスモデル開発、トップラインの成長、顧客レスポンスの向上、サービスや商品の改善、コスト削減など、さまざまな領域でスマートマシンを活用していくことが想定される。
企業ユーザーは、事業の拡大などにおいて、人出不足が深刻になった場合、事業に適した人間を採用し、時間をかけて人材を教育する必要がある。スマートマシンの場合は、スマートマシンを容易にスケールさせ人出不足を解消させて事業を拡大するといったように、市場環境に合わせて、さまざまなアプローチが可能となる。
企業ユーザーは、スマートマシンインテグレーターに相談し、事業経営にスマートマシンを積極的に取り入れてく時代は、そう遠くない未来かもしれない。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。