IBMは米国時間2月16日、企業がさまざまな取引やユースケースでブロックチェーン技術を利用できるようにするための取り組みについて発表した。
ブロックチェーンは、仮想通貨であるBitcoinを支えている基幹技術として有名だ。詰まるところ、ブロックチェーンによってBitcoinネットワークにおけるすべてのトランザクションが記録されることになる。発生したトランザクションは、残高のほか、支払いや確認、送金指示といったデータを更新するためのブロックとして保存される。なお、ブロックチェーン技術はデータの改ざんが極めて困難であり、Bitcoinのような通貨を支える需要と供給が現実に存在している。
以下は、ブロックチェーンが企業の台帳システムを実現するうえでどのように機能するのかを示した図だ。
IBMにとって、ブロックチェーン関連ツールの魅力はシンプルだ。同社のメインフレーム上では膨大な量の取引が処理されているため、ブロックチェーンを開発者向けサービスやクラウドサービスで利用できるようにすれば、売り上げの増加につなげることができる。また同社はブロックチェーンを、企業間における契約の管理や、契約の自動化手法として捉えてもいる。
ブロックチェーンをサービスとして提供するというIBMの動きの一環として、以下のことが含まれている。
- IBMは、あらゆる取引に使用できるセキュアな台帳の構築を目的とした、Linux Foundationの「Hyperledger Project」に4万4000行のコードを寄贈している。同プロジェクトにはANZやABN AMRO、IBM、Intel、J.P. Morgan、Red Hat、VMware、Wells Fargoといった大手の金融機関やIT企業が主要パートナーとして参加している。
- 「IBM Bluemix」プラットフォーム上で新たなブロックチェーンサービスを提供し、開発者がデジタル資産の創出や、プライベートな取引の実行、ブロックチェーンネットワークの管理を行えるようにする。ブロックチェーンアプリケーションは同社の「IBM z System」上に配備できる。また、APIは取引の各段階で利用可能となる予定であり、コードサンプルはGitHub上で公開されている。
- デバイスなどのIoTのエンドポイントや、RFIDのタグ、バーコードのスキャンから収集された情報をブロックチェーンネットワーク上で管理できるようにする。
- ブロックチェーンアプリの試験導入を目的として、金融サービスの主な拠点であるロンドンとニューヨーク、シンガポール、東京に設計開発センターを開設し、IBMのサービス部門がブロックチェーンに関するコンサルティングサービスや設計サービスを提供する。
IBMの発表によると、同社はロンドン証券取引所を含め、複数の金融サービス組織と協業していくという。
同社は、企業におけるブロックチェーンの使用事例として、以下のものが考えられるとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。