IDC Japanは2月16日、国内エンタープライズストレージシステムの2019年までの産業分野別予測を発表した。2014~2019年の年平均成長率(CAGR)は2.0%、2019年には2808億7000万円に達し、金融、製造、官公庁、通信/メディア、情報サービスの上位5産業で76.9%を占めると予測。Software-Defined Storage(SDS)やODM Directの採用が拡大していると説明した。
IDCではエンタープライズストレージシステム市場に外付型ストレージシステム、サーバ内蔵型ストレージシステムに加え、企業ごとにカスタマイズしたサーバを開発、製造するメーカー(ODM)が直接ユーザー企業に出荷する“ODMダイレクト”を含めている。
国内エンタープライズストレージシステム市場は、2014年は2542億1900万円。2015年は前年比7.0%増の2720億3900万円、産業分野別の内訳は製造18.0%、金融17.6%、情報サービス14.9%、通信/メディア13.2%、官公庁13.2%が見込まれる。この上位5つの産業分野はいずれも市場全体の10%以上の構成比を持ち、その合計は76.8%に達するとした。一方、他の産業分野はいずれも1けた台の構成比にとどまっている。
2019年には国内エンタープライズストレージシステム市場は2808億7000万円に達するが、その産業分野別の内訳は製造17.8%、金融17.2%、情報サービス16.8%、通信/メディア14.8%、官公庁10.4%が見込まれる。上位5つの産業分野の合計は76.9%と予測する。
国内エンタープライズストレージシステム市場の上位5つの産業分野は2015年と変わらないものの、その2014~2019年のCAGRは産業分野によって大きく異なるとした。最もCAGRが高いのは、情報サービスの6.3%。情報サービスで成長が見込まれるのは、国内企業のクラウドサービス利用の拡大や、モバイルやソーシャルビジネスの利用拡大に伴って、それを支えるサービスプロバイダーのストレージインフラ支出が増加し続けると予測されるためという。このことは多くのサービスプロバイダーが含まれる情報サービス分野の支出額の伸びを下支えするとした。
IDCでは、情報サービスのストレージ支出の伸びは全産業分野の中で最も高いが、その支出パターンは、従来の外付型ストレージシステム主体から、Software-Defined Storage(SDS)の採用拡大に伴い、サーバ内蔵型ストレージシステムやODM Directの採用が増加すると説明。こうした変化は、中~長期的にはその他の産業分野のストレージ支出パターンにも影響を及ぼすと考えられると分析している。
計2720億3900万円 国内エンタープライズストレージシステム(外付型、サーバ内蔵型、ODM Direct)主要産業分野別 支出額構成比、2015年見込み IDC提供