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「プロジェクトマネジメント」の解き方

なぜシステム構築の現場では同じようなトラブルが繰り返されるのか(後編) - (page 3)

座間利行(シグマクシス)

2016-03-01 07:00

「このままでは無理だとわかっていても、仕切り直しに踏み切れない」理由

減点主義の組織では自ら黄色信号を出すことは難しい

 通常、設計フェーズで「刺身」が登場すると、システム構築経験者なら誰もが「これはやばい」と思う。このまま進めてうまくいくはずがない、どこかで仕切り直しをしないと大変なことになる、と誰もが心の中では思っている。だが、プロジェクトリーダーは、プロジェクトオーナーに「何とかなります」と言い続け、不安を見せるメンバーには、「根性でやれ」「ベンダーをたたいてもやらせろ」と強引な要求をつきつける。

 プロジェクトリーダー個人としては決して悪気があるわけではないのに、なぜそうなってしまうかと言えば、プロジェクトを発足させるときに「X年、XX億円で完了します」ということをコミットして稟議を通しているからだ。それができないということは、シンプルに組織の評価で「バツがつく」ということを意味する。

 本来は、どんな稟議でスタートしようとプロジェクトは成功させなければ意味がないし、不測事態に見舞われないプロジェクトも存在しないのだが、「トラブルがあったら助ける」というモードが企業内にない限り、プロジェクトリーダー自ら「トラブルが起きています、助けてほしい」と声を上げることはできない、というのが普通の感覚だ。

 ちなみに、SIベンダーはこういう場合どう対応するのか。多くのケースでは、まずスケジュールが遅延し始めた当初は、「なんとか頑張ります」と答える。そして行き詰ってくると、「サービスインの期日は死守します、でも追加のフィーと人員追加の許可を」と要望を出す。しかし、人員を追加しても、急きょ集めたメンバーのスキル・品質はバラバラで、要件のキャッチアップも思うようには進まない。

 そもそも「刺身」が出現した時点で、SIベンダー社内では、「あのプロジェクトはトラぶっている」と認識され、「あのプロジェクトへのアサインメントは危ない」という機運が広まっているのが普通だ。そんな状態でアサインされた新たなメンバーの心身のモチベーションが高いはずはなく、人数は増えてもスピードは上がらず、さらなる「フィーと人員追加」が繰り返される。こうしてプロジェクトのコンティンジェンシー予算はどんどん切り崩され、遂にプロジェクトは暗礁に乗り上げる。

 ある意味、ユーザー企業側よりもプロジェクト経験のあるSIベンダーのほうがトラブルへの感度は高いはずだが、それでも何も言わずに踏んばろうとするのはなぜか。

 それは、自らトラブルのサインを声高に出すことは、自分たちを雇ってくれているプロジェクトリーダーを背中から刺す行為に等しいからだ。ビジネスの取り引きがをある以上、それは仁義に反する行為という感覚がある。こうして、誰もがうしろめたさを抱えながら、いつか座礁するとわかっている船で航海を続けることになる。

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