米IBMは2月22日、ネバダ州ラスベガスで開催中の自社イベント「IBM InterConnect 2016」において、VMwareとハイブリッドクラウド分野で戦略的協業すると発表した。
今後、顧客はVMwareのソフトウェア定義データセンター(Software-Defined Data Center:SDDC)環境を、オンプレミスとIBMクラウドを問わず自動的にプロビジョニングできるようになる。
IBM Interconnect 2016の参加人数は2万3000人、会場となったのは「MANDALAY BAY」と「MGM」の2つのホテルだ
両社は、オンプレミス環境をクラウドに拡張するアーキテクチャの継続的な開発や、ハイブリッドクラウド導入促進のマーケティングや営業、販売を共同で実施する。
初日の基調講演の“目玉”としてVMwareとの協業を発表した
具体的にIBMは、同社の「CloudBuilder」ツールをSDDCの自動プロビジョニングに対応させた。一方、VMwareは「vRealize Automation」と「vCenter Management」ツールを拡張し、オンプレミスのVMware環境を変更することなく、シームレスにIBMクラウドへと移行できるようにした。
今回の協業でVMwareの顧客は、これまで数週間かかっていたIBMクラウド環境へのワークロードのプロビジョニングや拡張を、数分以内に実行できるようになるとする。
IBM CloudシニアバイスプレジデントのRobert LeBlanc氏は、「IBMは世界45カ所にクラウドデータセンターを有している。顧客は自社の(VMwareの)仮想化環境を、迅速かつ安全にグローバル規模で拡張できる」とそのメリットを説明した。
IBM CloudシニアバイスプレジデントのRobert LeBlanc氏(左)とゲストとして登壇したVMwareのプレジデント兼最高執行責任者(COO)であるCarl Eschenbach氏(右)
「VMwareの技術とIBMクラウドを使えば、既存のツールを使いながら最新の技術メリットを享受できる。例えば、顧客はクラウド管理ツールを、IBMの"クラウドコンソール”とVMwareの"vRealize Automation”の両方から選択できる。開発者は、新しいツールのトレーニングをすることなく、簡単にプロビジョニングや新しいワークロードをIBMクラウドに展開できる。これは"クラウドの利便性を最大限に享受できる環境を顧客に提供する”というわれわれの理念を具現化させたものだ」(LeBlanc氏)
基調講演にゲストとして登壇したVMwareのプレジデント兼最高執行責任者(COO)であるCarl Eschenbach氏は、「今回の提携で顧客は、シームレスなハイブリッドクラウド体験が可能になる」とコメントした。なお、IBMではVMware顧客のメリットとして、「ハイブリッドクラウドを、柔軟な月単位の利用料金でデプロイして運用できる」「シンプルな従量課金制オプションで、費用対効果の向上が期待できる」としている。
ちなみにVMwareは現在、自社のハイブリッドクラウド基盤として「VMware vCloud Air」を提供している。基調講演後の記者会見で、今回の提携と「VMware vCloud Air」とのすみ分けについて問われたCarl氏は、「(今回の提携が)VMware vCloud Airの売り上げに影響するとは考えおらず、(VMware vCloud Airは)引き続き提供していく。むしろ、(今回の提携は)顧客に対してデータセンターのコンソリデーションできる選択肢を提供できると考えている」と指摘した。