「東京駅や新宿駅は建屋に価値があるのではない。多くの路線が乗り入れていることに価値がある。データセンターも同じだ。エコシステムの中心として、クラウドのトラフィックを相互に接続することに価値がある」――。
データセンター事業とITアウトソーシング事業を営むビットアイル・エクイニクスは2月23日、今後の事業展望について会見した。同社は1月に米Equinix(日本法人はエクイニクス・ジャパン)の傘下となったことを受けて、社名をビットアイルからビットアイル・エクイニクスに変更している(図1)。

図1:ビットアイル・エクイニクスの位置付け
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ビットアイル・エクイニクスは、Equinixの傘下となる以前から東京にあるエクイニクス・ジャパンのデータセンターに自社設備をコロケーションすることによって、顧客のプライベートクラウドをパブリッククラウドに専用線で直結するクラウド接続サービスを提供してきた。Amazon Web Services(AWS)に接続する「AWS Direct Connect」、Microsoft Azureに接続する「ExpressRoute」、SoftLayerに接続する「IBM SoftLayer Direct Link」などだ。
今回、Equinixの傘下となったことを受けて、東京地域でビットアイル・エクイニクスのデータセンター5カ所と、エクイニクス・ジャパンのデータセンター5カ所(1カ所は3月オープン)を相互に接続した。これにより、Equinixの最大の特徴であるマルチクラウドの相互接続環境「Equinix Cloud Exchange」(図2)をビットアイル・エクイニクスのデータセンターから利用できるようになった。

図2:クラウド事業者への接続ポイントを集めた拠点として機能する

ビットアイル・エクイニクス 代表取締役 古田敬氏(エクイニクス・ジャパン代表取締役を兼務)

ビットアイル・エクイニクス 取締役社長 寺田航平氏
「クラウドのエコシステムの中心として、さまざまなクラウドが集まってくる場所」。エクイニクス・ジャパン代表取締役でビットアイル・エクイニクス代表取締役を兼ねる古田敬氏は、Equinixのデータセンターをこう表現する。
Equinixのデータセンター設備を利用してクラウドサービスを提供しているクラウド事業者、自身のデータセンターをEquinixのデータセンターに直結しているクラウド事業者が増えているという。これにより、Equinixのデータセンターにシステムを配置しているユーザー企業は、クラウド事業者のサービスを安全に低遅延で利用できるようになる。
ビットアイル・エクイニクス取締役社長の寺田航平氏は、「マルチクラウドの相互接続環境が手に入ったことで他社のデータセンターよりも優位な環境を提供できるようになった」と、ユーザーから見た企業買収の意味を説明する。
「Equinixグループに入ったことで、450社を超えるクラウドベンダーと直接つながった。国内でも45社を超えるクラウドベンダーと接続できた」(寺田氏)
ビットアイル・エクイニクスとエクイニクス・ジャパンは、互いのデータセンターをネットワークでつなぐだけでなく、運用体制などのオペレーションでも連携を深める意向だ。さらに、ビットアイル・エクイニクスの顧客がEquinixのサービスを、反対にEquinixの顧客がビットアイル・エクイニクスのサービスをできるだけシームレスに利用できるように連携体制を整えるという。