本特集では「OpenStackエコシステムを牽引するのは誰だ」と題して、OpenStackのエンタープライズへの普及に向けた道筋を探っていく(第1回、第2回、第3回)。第3~5回目にかけては、OpenStackキープレーヤー各社のプロダクトと、事業戦略上のOpenStackの位置づけを解説する。今回第3回目は、OpenStackの商用ディストリビューションを提供する企業の中から、Red Hat、Mirantis、Hewlett-Packard Enterprise(HPE)を取り上げたい。
OpenStack商用ディストリビューションは、OpenStackコンポーネントのいくつかをパッケージし、ハイパーバイザとの互換性や、OpenStackのIaaS層の上に被せるPaaS層との互換性を保障する形で商用サポートをセットにして提供するものだ。
Linuxディストリビューター各社は、LinuxのハイパーバイザであるKVMとOpenStackとの接続性を検証したパッケージを揃えている。Red Hatの「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」、SUSEの「SUSE OpenStack Cloud」、Ubuntuの「Ubuntu OpenStack」などがそれだ。ここでは、代表してRed Hatを紹介する。
HPEの「HPE Helion OpenStack」は、PaaSレイヤの「Cloud Foundry」との親和性や、同社製ハードウェアとの垂直統合、他社のパブリッククラウドサービスとのハイブリッド環境を構築するための周辺サービスを売り物にするOpenStackパッケージだ。パブリッククラウド事業から撤退し、OpenStackベースのプライベートクラウド事業への集中に舵を切った同社のOpenStack戦略を紹介する。
一方、“Pure OpenStackインテグレーター”を名乗るミランティスのOpenStackパッケージ「Mirantis OpenStack」は、前述の2社とは異なり、ハイパーバイザやPaaSレイヤの選択肢に制約を設けないことにこだわっている。