OpenStackエコシステムの牽引役を担うのは誰だ

OpenStack商用ディストロを売る各社の狙い--Red Hat、HPE、Mirantisの場合 - (page 4)

羽野三千世 (編集部)

2016-02-24 07:00

「Fuel」でOpenStackのデプロイをシンプル化:Mirantis

 MirantisのOpenStackディストリビューション「Mirantis OpenStack(MOS)」は、前述のRHEL OSPやHPE Helion OpenStackとは異なり、ハイパーバイザやPaaSレイヤの選択肢に制約を設けず、“どこにもベンダーロックインのないオープン性”にこだわっている。企業の本番環境での導入実績も多く、IT系企業ではPayPalやCisco、Intel、Dell、Symantecなど、非ITのエンタープライズではGAP、Walmartなど、グローバルで100社以上が採用している。


「Mirantis OpenStack」の構成

 Mirantisは、1999年にOSSを扱うクラウドインテグレーターとして米国で創業した。2010年、誕生したばかりのOpenStackに目を着け、以降すべての新規ビジネスをOpenStackに集約。現在は、OpenStack商用パッケージの販売と、OpenStackを使ったクラウドインテグレーションを提供する“OpenStack専業ベンダー”になっている。コミュニティーへの貢献も大きく、次期「Mitaka」への企業別コミット数はトップになる見込みだ。

 「グローバルの社員約850人のうち650人がOpenStackエンジニア。社内に300人以上のOpenStackコミッターを抱えています」――。そう話すのは、ミランティス・ジャパン リージョナルディレクター 下平中氏だ。日本法人は2015年1月に設立されたばかりで、現在は下平氏をトップに、国内のテクノロジパートナーやリセラーパートナーと協力して日本市場向けにMOSの販売、OpenStackでのクラウドインテグレーション、OpenStackのトレーニングサービスを提供している。

 MOSの最新版は、Kiloベースの「MOS 7」。同社はOpenStackの新バージョンリリースから3~4カ月後にMOS新版をリリースしており、間もなくLibertyベースのMOS 8が登場する予定だ。

 MOSの最大の特徴は、OpenStackコンポーネントの1つであり、これまでリリースされたMOSの全バージョンに含まれてきたインストーラコンポーネント「Fuel」だ。Fuelは、OpenStackのデプロイと運用を簡単に行うためのツールであり、ネットワーク環境の準備をデプロイ前に検証する機能、選択したOpenStackコンポーネントを自動プロビジョニングする機能、OpenStack導入後の環境のヘルスチェック機能やリアルタイムモニタリング機能などを実装する。


ミランティス・ジャパン リージョナルディレクター 下平中氏

 「FuelプロジェクトはもともとMirantisが立ち上げたものです。当社のOpenStackビジネスはクラウドインテグレーションからスタートしたのですが、自社ビジネスにおいてOpenStackのインストール作業をシンプル化することを目的に開発したのがFuelでした。その後、OpenStack商用ディストリビューションをリリースするにあたっては、Fuelありきで、Fuelでの運用のしやすさを念頭に開発しています」(下平氏)

 同社は、Fuelプロジェクトの立ち上げと商用化を成功させたノウハウを生かして、テクノロジベンダーが商用化を見越してOpenStackコミュニティーに参入する際の支援も手掛けている。例えば、Kiloで登場した共有ファイルシステムのコンポーネント「Manila」のプロジェクトは、NetAppが自社での商用化を目的に立ち上げたものだが、このコミュニティーへの参入はMirantisが支援した。

 OpenStackの商用パッケージの販売、クラウドインテグレーション、有償トレーニング提供、コミュニティ参入支援など、とことんOpenStackでビジネスをしていこうというのがMirantisの戦略だ。

最後に

 今回は、OpenStack商用ディストリビューションを提供する3社を紹介した。次回の第4回目はOpenStack向けネットワーク仮想化ソフトを開発するMidokuraを紹介し、最終回の5回目はOpenStackベースの企業向けクラウドサービスを提供するIBM、NTTコミュニケーションズ、富士通を紹介する予定だ。

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