IBMの「Watson」が、オフィス空間の管理という新たな役割を演じるようになる。
SiemensとIBMは米国時間2月22日、IBMのWatson IoT事業部門が手がける、アナリティクスや資産管理などのソフトウェアと、Siemensのクラウドベースのエネルギーおよびサステナビリティ管理プラットフォーム「Navigator」を統合し、スマートビルの管理を容易にするために協力していくと発表した。
両社は、「ビルのインテリジェンス」がクラウドコンピューティングやデータアナリティクス、インテリジェントな計装機器の組み合わせによって進化することで、「実質的に建造環境内での仮想世界と現実世界の融和」が引き起こされている点を指摘するとともに、それにより新たな機会が生み出されていると説明している。
ビルの総所有コストに占める維持管理費の割合は71%となっており、大企業では不動産が2番目に大きな経費となることもしばしばだ。
提供:Siemens and IBM
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Siemensによると、Navigatorにはビルにおけるシステムのパフォーマンスや、エネルギーの需要と供給を、単一のビル内で、あるいはキャンパス内で、さらには不動産ポートフォリオ全体をまとめたかたちで監視するための、カスタマイズ可能な一連のサービスが用意されているという。
両社は、IBMのIoTテクノロジをNavigatorプラットフォームへと統合することで、「先進的なアナリティクスを提供するユーザーフレンドリーなインターフェース」を顧客にもたらせると述べている。
両社は企業として不動産を保有する顧客に対して、以下のようなメリットをもたらそうとしている。
- Navigatorプラットフォーム上の内部データと外部データをまとめることで、ビルのパフォーマンスに関するベンチマーク評価を実施し、維持管理費を予測できるようになる。
- 故障や不具合の検出や診断に予測分析を用いることで、問題が顕在化する前に対処できるようになる。
- テキスト認識機能やアナリティクス機能を用いることで、公共料金の請求書にある誤りを検出できるようになる。
- モバイルアプリを利用することで、「どこからでも」エネルギー監査を実施したり、監査報告書を作成できるようになる。
またNavigatorプラットフォームは、Siemensの「Desigo CC」ビル管理システムやサードパーティーのテクノロジを含む、他のシステムとの統合が可能になる予定だ。Siemensによると、Navigatorの新機能は今後、パッケージ化して漸次提供されることになっており、最初は5月に、次は10月に提供を予定しているという。
IBMでWatson IoT事業と、教育およびコマース事業のゼネラルマネージャーを務めるHarriet Green氏は、「つながりあった『モノ』(病院のベッドから線路、自動車、ビルといったすべてのもの)は、すぐに適用可能な洞察を提供するための、分析可能な大量のデータを生成している」と述べるとともに、「SiemensとIBMは、スマートビルの新たな効率化に向け、クラウドベースのIoTが持つ先進性によってディープナレッジを集約することで、企業や社会といったものを変革していきたいと考えている」と述べている。
Siemensはデジタルサービスにさらなる投資をしており、同社のさまざまな事業をまたがって予測データ分析を行う「Sinalytics」プラットフォームを開発済みだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。