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水泡に帰した数十億ドル--米小売大手Targetのカナダ撤退を招いた劣悪なシステム

David Gewirtz CBS Interactive Staff 翻訳校正: 編集部

2016-02-29 06:00

 ビジネススクールのケーススタディーでは、史上稀にみるような大成功か、誰もが目を疑うような大失敗のいずれかを事例として採り上げる場合が多い。今回の記事では後者、すなわち数十億ドルの投資が水泡に帰した失敗事例について検証する。これは歴史の教科書に載せるに相応しい、未曾有の失敗事例である。

 まずは背景から説明しよう。この事例で主役となるのは、全米有数の小売企業であるTargetだ。Dayton-Hudsonと呼ばれていた企業の一部門にすぎなかったTargetだが、現在では全米に1800店舗を擁する大企業へと躍進している。

米小売大手Targetの社屋

 そんなTargetだが、不幸なことにカナダでは1店舗も運営していない。正確には「もはや1店舗も運営していない」と言い換えるべきか。それでは、本題を始めよう。

 これは慢心と、非現実的な納期と、ITに関する物語である。言うまでもなく、世界進出を狙う小売企業にとり、情報システムはあらゆる要素を連携させる接着剤の役割を果たす。しかしTargetの事例では、情報システムは接着剤としては機能しなかった。

 米国人である私が暮らす地域にはTargetが3店舗もある。そのため、Targetはとっくに世界展開しているものだと思い込んでいた。しかし実際、Targetは海外進出を果たしていないのである。対照的に、Walmartは世界28カ国で1万1000を超える店舗を運営している。Walmartは4650億ドル企業だ。それに対しTargetの規模は720億ドルだが、これも十分に巨大な額である。しかしTargetはWalmartのような成功を目指していた。

 その第一歩として、Targetはカナダ進出を決定した。その際の経緯については、Canadian Businessに優れた分析記事が掲載されている。隣国カナダへの進出は簡単そうに思える。何しろ、(フランス語圏のケベックを除けば)カナダ人は米国人と同じ言語を喋っている。また、米国人の大半は北側にあるカナダを外国ではなく、穏やかな気質の人々が暮らす寒冷な51番目の州くらいのイメージで捉えている。

 しかし現実には、話がそう簡単に済むはずがない。例として2つの要素を挙げてみよう。まず、カナダは米国と異なる通貨を使用している。両者は同じ「ドル」ではあるが、本記事の執筆時点で、カナダドルは米ドルの72%の価値しかない。しかも為替レートは常時変動している。次に、カナダはメートル法を使用している。米国人にとって奥行き2フィートの棚の奥行きは、文字通りの2フィートである。しかしカナダでは、その棚の奥行きは60.96cmとなる。

 この時点ですでに、ITの問題が起きそうな予感がしてくるはずだ。

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