組織で取り組むUI/UX

「UI/UX設計部」は誰と仕事を進めるべきか

綾塚祐二 2016年03月09日 07時00分

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 ユーザーインターフェース(User Interface:UI)やユーザー体験(User eXperience:UX)の向上が全社的・全組織的方針として掲げられ、UI/UX設計部ができたとしても、いきなりフル稼働できるとは限らない。たとえ全社的方針だとしても他の部署の理解が進まないことも多いだろうし、(特に最初は)予算的・人員的に潤沢なリソースは使えないかもしれない。

 UI/UXの向上を確実に推進するためには、どこから手を付ければよいのだろうか。もちろん部署設立にあたって設定されたミッションにもよるし、一概には言えない部分も多いが、今回は初期の取りかかり方を中心に考えていきたい。

取りかかりとしての短期的な成果

 UI/UXの向上というのは中長期的な視点を持って進めねばならない。とはいえ、部署をうまく回し始めるため、また、組織全体をよい方向へ誘導するためには、まず何がしかの短期的な成果を目に見える形で上げたい。

 理解を広めるための啓蒙活動からスタートするという選択肢もあり得るが、UI/UX設計部ができた後は、何らかの形での「分かりやすい成功事例」をできるだけ早い段階で作りたい。それが説得力を増すことになり、その後の活動へとつなげやすい。

既存の製品・サービスの改良から取りかかる

 もし、ユーザビリティの改善やオペレーションミスの削減など、UI/UX関連の課題が明らかになっている既存の製品やサービスがあれば、それを調査、分析し、提案や設計改良を担うというのが分かりやすいであろう。

 UI/UX設計部が少人数・小規模な部署であっても、(対象となる製品やサービスの規模などにもよるが)対応しやすく、うまく成果が上がれば、その次の類似のプロジェクトへとつなげやすい。

 課題が明らかになっていない場合は、既存の製品やサービスに対し、解析やユーザテストなどによりそうした課題自体を広く洗い出し顕在化させるというプロジェクトから入るのもよいであろう。

 ただしこれは、「そうした洗い出しをするメリット」が充分理解されていないと、各製品やサービスを開発した部署に「後からケチを付けられている」というように感じられて反発があるかもしれないので気をつけたい。メタな話になるが、「UI/UX を改善する努力をすること」に対する、「他の開発者や設計者たちのエクスペリエンス」を考慮する必要がある。

新製品・サービスの企画から取り掛かる

 新製品(特にこれまであまり扱っていなかったタイプのもの)の企画やサービスのリニューアルの企画などはUXを考慮した設計を持ち込むよい機会である。可能な限り企画の最初期段階から関わりたい。組織としても、新しい企画にはUXやUIの知識・スキルがあるメンバーを必ず入れるよう、しっかりと方針を打ち出したい。

 これは成果が見える形になるまではやや時間がかかるかもしれないが、うまくいった場合の効果は大きい。また、初期段階から係わり、一連の流れを共有することで、「UI/UXを意識する」とはどういうことかが他の人々に伝わりやすい。

 最も王道と言える取りかかり方であろうし、可能ならばこうした企画のスタートに合わせて UI/UX設計部を設置できると好都合であろう。これもまた組織の人々への(メタな)エクスペリエンスの演出と言える。

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