海外コメンタリー

「ネイティブアプリvs.ウェブアプリ」という感覚を捨てよう - (page 2)

Matt Asay (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2016-03-04 06:30

モバイルの長所を引き出すための近道はない

 アプリを最も安価に開発できるということだけがウェブアプリの利点なのであれば、そういったものをもてはやす理由はないはずだ。従業員向けかコンシューマー向けかにかかわらず、ひどいエクスペリエンスをもたらし、ユーザーに使ってもらえないアプリなど、たとえ低コストでも価値はないのではなかろうか?

 モバイルエクスペリエンスの基準は、モバイルを第1に考えた「Uber」のようなアプリによって定義されているため、アプリストア向けのビジネスアプリを開発しているのか、IT部門が福利厚生情報をモバイル形式にまとめようとしているのかに関係なく、質の低いアプリを構築してもよいという理由にはならない。

 ウェブアプリの開発という道に進む理由は、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためであって、怠惰な開発者に楽をさせるためではない。

 ネイティブアプリがもたらす利点を必要としない業務もある。しかしたいていの場合、モバイル開発にはネイティブアプリとウェブアプリの双方が絡んできて、どちらか一方だけの話では済まない。

 このため、企業はネイティブアプリとウェブアプリをブレンドしたアプローチに目を向けるべきだ。例えば、筆者が話をしたある大規模小売企業では、飛び込みの客を引きつけることに最適化したウェブエクスペリエンスを実現していた。これは、ベンチャーキャピタリストであるFred Wilson氏が呼ぶところのTop of the Funnel(ToFu)を具現化したものだと言える。その一方で常連客に対しては、店内の案内や、詳細な情報のためのバーコード走査アプリなど、2つのアプリを用意していた。

 また別の娯楽企業では、定期的に(毎日、場合によっては1時間ごとに)コンテンツをアップデートするというニーズを抱えていた。この娯楽企業の事業は、人々が不定期に利用する類のものだった。このため彼らは、常に変化するコンテンツを完全に制御するためのウェブエクスペリエンスの最適化と、より気軽に利用できる(そして定期的に利用してもらえる)ゲームのようなアプリの開発に向けて、多大な投資を行ったのだ。

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