あなたの部下はなぜ付いて来ない？--優れたITリーダーの条件とは - (page 2)

　May氏は、優れたリーダーは誠実さと、現実主義と、方向感覚を等しく重視すると述べている。「毎日のように新しい課題が出てくる。それに対応するには柔軟性が必要だ。顔を合わせる人は、みんな違う感情を持っている」とMay氏。

　また同氏によれば、優れたCIOは自分ですべてのプロジェクトの面倒を見るのではなく、信じて人に任せなくてはならないという。「部下の能力を把握し、信頼する必要がある」と同氏は述べている。「わたしは、もし部下が問題にぶつかれば、相談しに来るということを知っている」

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3．チームの強みを前面に出す

　Accenture Technology Strategyの元CIOであり、現在は英国とアイルランドのエネルギー担当マネージングディレクターであるAndrew Marks氏は、組織に不可欠な役割を果たしていると周囲に思われているCIOは、特にIT部門の内外でのコミュニケーション能力に優れていると語る。

　「イノベーションを推進し、企業の成功を支える人物だと思われることは、自分の役割の重要性を示すには絶好の方法だ」と同氏は言う。ただし、コミュニケーション能力は重要だが、優れたリーダーは必ずしも自らスポークスマンの役割を果たす必要はない。

　Marks氏は、CIOはむしろチームにしっかりと発言する機会を与えるべきだと述べている。「経営チームの重要な一員だと見られるかどうかは、信頼している部下の能力にかかっている。管理が行き届いた、優れた結果を出せるチームを作ることは、最高のスタート地点だ」と同氏は言う。

　「結果がすべてを語るはずだ。個人の知識や経験は、時間が経つにつれて蓄積される。もし特殊な業界知識を持っているなら、他の部門のリーダーと相手の言葉で積極的に対話して、相手のビジネス上の課題を理解することだ。そうすれば、あなたは組織の競争力を高めるために重要な存在だと思われる」（Marks氏）

4．自らのスキルを、他の部門の成果を上げるために使う

　組織変革を専門とする企業three25のマネージングディレクターであり、暫定CIOのChristian McMahon氏は、優れたリーダーは、最前線で人を鼓舞し、サポートし、メンターの役割を果たし、育て、率いる人物だという。「同じ立場の人間とも、組織のどんなレベルの人間とも、気楽に話せる必要がある」と同氏は言う。

　最高のリーダーは、最前線からあまり離れることはない。そして自分が率いる部下の性質を理解し、尊重する。ただし残念ながら、真に偉大なリーダーはほとんどいないという。「求められれば、多くの人は悪いリーダーの例として、自分の上司だった人物の名前を挙げる」とMcMahon氏は話す。

　同氏によれば、優れたリーダーの名前を聞かれると、ほとんどの人は自分が直接知っている人ではなく、Steve Jobs氏やBill Gates氏のような有名なリーダーの名前を挙げる。こうした有名人の例は、優れたリーダーは自分の役割や、業界でさえ超越できることを示している。

　ITリーダーにとっての課題は、自らのスキルを他の部門や環境で成果を上げるために使うことだ。「信頼できる組織では、上級役員になるための近道はない」とMcMahon氏は言う。「CIOにとって重要なのは、IT部門の戦略的目標を果たすだけでなく、他部門のリーダーが目的を果たすのを支援し、組織全体が企業としての目標を達成するのを助けることだ」（McMahon氏）