セキュリティ人材が不足--「攻撃者を追い詰める“ハンター”が必要」RSAトップ

鈴木恭子 2016年03月03日 16時35分

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 RSAは米国時間2月29日から5日間、カリフォルニア州サンフランシスコでセキュリティの総合コンファレンス「RSA Conference 2016」を開催している。今年で25周年となる同コンファレンスには、世界各国から4万人超のITベンダーや企業のセキュリティ担当者が集まった。会期中は、約500のITベンダーによる製品デモ、700超のセッションやハンズオンラボが用意されている。

 今回のテーマは「Connect to Protect」。原点回帰とも言えるテーマだが、多くの講演で語られたのは、攻撃者優位の現実とセキュリティ業界の人材不足、そしてプライバシー保護といった「セキュリティ業界が抱える課題を凝縮したトピック」(RSA幹部)だった。


25周年を迎えたRSA Conference。基調講演は開演1時間以上前から行列ができるほどの人気だった
初日の基調講演に登壇したRSA プレジデント Amit Yoran氏
初日の基調講演に登壇したRSA プレジデント Amit Yoran氏

機械学習は人間の判断を“支援”する

 セキュリティ業界は目を覚ませ――。

 3月1日の基調講演でRSAプレジデントのAmit Yoran氏が訴えたのは、攻撃者を追い詰めるような、プロアクティブなセキュリティ対策の必要性だ。その背景には、増加の一途を辿るセキュリティ侵害と、一向に改善しない現状に対する危機感がある。

 「IoT(Internet of Things)の登場やデバイス数の増加で、(攻撃の窓口となる)エンドポイントは増加し、セキュリティ侵害の入り口は指数関数的に増加している。そうした状況にもかかわらず、企業はファイアウォールやアンチウイルスソフト、サンドボックスといった旧態依然とした技術しか利用していない」(Yoran氏)

 その一方、ユーザーはセキュリティ対策製品に不満を感じているとYoran氏は指摘する。同社が160社を対象にした「Threat Detection Effectiveness Survey(脅威検出の有効性に関する調査)」によると、回答者の90%以上はセキュリティ情報イベント管理(Security Information and Event Management:SIEM)について「脅威の検知が迅速でない」と感じているという。

 こうした状況の悪化に拍車をかけているのが、セキュリティ専門家の絶対的な不足だ。最新の攻撃に対するセキュリティソリューションを扱える人材は世界的に不足している。

 Yoran氏は、「技術的な課題と同様に、サイバー攻撃と対峙できる人材の育成も課題だ。しかし、企業が満足できるような多くの人材を確保することは難しい。企業は、(攻撃に対処できる)人材を確保できない事実を認識した上で対策を講じなければならない」と訴えた。

 必要なのは「可視性」だとYoran氏は主張する。現在「何が起こっているか」を把握し、「なぜそれが発生しているのか」を分析し、「そこからどのようなインシデントが発生する可能性があるのか」を判断できるようにするためには、分析結果を迅速、かつわかりやすく可視化する必要があるというのが、RSAのメッセージだ。

Security Analyticsはバージョン10.6となり、機械学習機能が備わった。「人間がインシデントの深刻度を分析できるようにビジュアル化されたのも大きな特徴」(説明員)だという
Security Analyticsはバージョン10.6となり、機械学習機能が備わった。「人間がインシデントの深刻度を分析できるようにビジュアル化されたのも大きな特徴」(説明員)だという

 今回のコンファレンスに合わせRSAは、同社が「次世代SIEM」と位置付ける「RSA Security Analytics」の機能強化を発表した。機械学習機能を搭載し、ネットワーク上で発生している疑わしいプロセスをリアルタイムで分析し、可視化する。Yoran氏は機械学習や人工知能(AI)といった技術は、人間が効率的にインシデントを見つけ出すように“支援”し、人材不足を補うものであると語る。

 ただし、Yoran氏は、セキュリティ分野でAIが人間と同様の役割を果たすものではないとの考えを示唆する。

 「企業は、人間の創造性と問題解決能力を強化する技術に投資すべきだ。(中略)今、企業に必要なのは、好奇心旺盛で既存の概念にとらわれない柔軟な発想を持った人材だ。そうした人材を獲得するためには、組織全体の考え方も変える必要がある。『攻撃から身を守る』のではなく、『攻撃者を追い詰める』ハンターのような人材と、それを許容する企業文化の醸成が急務だ。そのためには、官民が協力して人材育成に注力しなければならない」(Yoran氏)

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