また、ITに対する期待では、日本企業が「ITによる業務効率化/コスト削減」をトップに挙げているのに対し、米国は「製品やサービス開発強化」がトップ、これに「ビジネスモデル変革」が続いていた。

(図4)ITに対する期待 (JEITA「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」調査結果)
さらに、「新規ソリューション」の認知度においても、日米で違いが見られ、クラウドやビッグデータについて、日本は「聞いたことがない/知らない」が20%以上だったのに対し、米国ではすべて1桁台以下だった。

(図5)新規ソリューションの導入状況(「聞いたことがない/あまりよく知らない」の割合)(JEITA「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」調査結果)
これらの結果から考えると、米国では、経営層や利用部門が積極的に新しい技術をキャッチアップし、それを自社の競争力向上のツールとして生かそうとする姿勢が見える。さらに、意思決定もトップダウン型であるため、経営に寄与すると考えられた新しい技術を導入するスピードも早く、それがクラウドサービス導入率の高さにも現れていると考える。
一方、日本では、経営層がITに関して米国と比較すると新規ソリューション知識が乏しく、また自社競争力向上ではなく、業務の効率化やコスト削減などの社内目的として活用するという認識が強い。
これを打開するためにはボトムアップ的に改革を進めて行く必要があるが、現場の人間としては、クラウドサービスなど新しい技術を導入することで、さらなる業務の効率化やコスト削減が可能であるとは考える一方でリスクが大きくなることも知っている。
実際の現場でリスクをとることは難しいため、過剰に検証を積み重ねたり、他社事例を求めたりしてなかなか本番への採用には至らない。さらに、経営層も新しい技術やサービスをキャッチアップすることができていないため、現場から挙がってきた稟議に対して、会社の将来や方向性に沿ったものかの判断が自分たちでは判断できない。
これが日本を「クラウド後進国」に留めているカラクリであり、その根は深い。