今週の明言

国立情報学研究所がIBMと産学連携プロジェクトを始めた思惑 - (page 2)

松岡功

2016-03-04 12:00

 会見には、日本IBM取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部長のCameron Art氏、およびセンター長に就任した石塚氏も登壇。

 Art氏は「NIIとの今回の取り組みが、まさに日本の社会や企業の活動を支援することにつながると確信している」と挨拶。石塚氏は「今回のプロジェクトによって、コグニティブテクノロジと産業および社会を結びつけるイノベーションを今後3年のうちにいくつか見つけて芽を出す手前までこぎつけたい」と決意のほどを語った。果たして、どのようなイノベーションの芽を見出すことができるか、注目しておきたい。

会見の様子。左から、日本IBM取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部長のCameron Art氏、喜連川氏、コグニティブ・イノベーションセンター長に就任した石塚満氏
会見の様子。左から、日本IBM取締役専務執行役員グローバル・ビジネス・サービス事業本部長のCameron Art氏、喜連川氏、コグニティブ・イノベーションセンター長に就任した石塚満氏

「金銭目的のサイバー犯罪による被害が法人で拡大している」
(トレンドマイクロ 岡本勝之 セキュリティエバンジェリスト)

トレンドマイクロの岡本勝之 セキュリティエバンジェリスト
トレンドマイクロの岡本勝之 セキュリティエバンジェリスト

 トレンドマイクロが先ごろ、2015年のサイバー犯罪におけるセキュリティ脅威の動向について記者説明会を開いた。岡本氏の冒頭の発言は、その中でも顕著な動きについて語ったものである。

 岡本氏は2015年の全体動向として冒頭の発言内容のほか、「正規サイト汚染によってサイト閲覧のみで被害に遭う攻撃が日本で顕著になってきている」「標的型サイバー攻撃による情報漏えいが多数発覚し、盗まれた情報がさらなる攻撃で利用されるケースも出てきている」ことを挙げた。

 これらの詳細については関連記事を参照いただくとして、ここでは金銭目的のサイバー犯罪として急拡大している「ランサムウェア」による被害にフォーカスしたい。ランサムウェアは感染したPCの操作をロックしたり、PC内のファイルを暗号化して復旧の代わりに金銭を要求する不正プログラムで、「身代金要求型ウイルス」と呼ばれている。

 同氏はまず、脆弱性攻撃サイト経由で侵入する不正プログラムの7割以上が金銭を狙っており、その半数がランサムウェアだと指摘。ランサムウェアの急拡大ぶりを示す同社の調査結果として、2015年は国内法人ユーザーにおける被害報告件数が前年比16.3倍に増加したほか、グローバルでも法人ユーザーにおける検出台数が前年比2.2倍に増加したことを明らかにした。

ランサムウェアの急拡大ぶりを示すトレンドマイクロの調査結果
ランサムウェアの急拡大ぶりを示すトレンドマイクロの調査結果

 なかでもデータ暗号化型ランサムウェアが台頭しており、ランサムウェア全体のうち、2014年では23.5%だった割合が2015年では73.3%に急増したという。これはつまり、2014年では全体の4分の1足らずにとどまっていたのが、2015年では4分の3を占めるようになったわけだ。

 さらに、2015年には個々のPCのデータだけでなく共有ネットワーク上のデータも暗号化するタイプが広がりつつあり、この動きが法人の被害に一層深刻な状況を生み出しているという。

 最近では身代金を支払ったケースも明らかになっている。説明会の質疑応答では、「ランサムウェアに感染して身代金を要求されたユーザーからどうすればよいかと聞かれた際、トレンドマイクロはどう答えているのか」との質問も。これに対し岡本氏は、「攻撃者の利益になることは基本的にお勧めしていない。対処策としてはバックアップデータを用いて復元する形になる」と答えた。

 つまりは、事前の脆弱性対策もさることながら、万一の場合に備えてバックアップも必須ということである。すべての企業が心得ておく必要がありそうだ。

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