SQL Server 2016 CTP 3.3
「SQL Server 2016」は現在、コミュニティーテクノロジプレビュー(CTP)として開発が進んでおり、2月上旬にCTP 3.3をリリースしている。60TBまで利用可能なAzureのStretch Databaseエディション(プレビュー版)を含んでいるほか、メモリ上でのオンライントランザクション処理、Analysis ServicesのDirectQueryモード、Reporting Servicesの新しいウェブポータルの実装といった機能強化が行われた。北川氏によれば、3月中にも次のリビジョンアップが予定されているという。
注目すべき新機能は、SQL ServerのトランザクションデータをAzure上のSQL Databaseサービスへ動的に拡張する「Stretch Database」だ。データは常時暗号化された状態でやりとりされる。クエリ実行時はデータがクラウドとオンプレミスのどちらにあっても取得できるため、古いデータをアーカイブする際に便利だとする。Stretch Database は2月中旬からパブリックプレビューを開始している。
着々と進むSQL Server 2016の開発。CTP 3.3ではStretch Databaseに対応した
SQL Server Reporting ServicesのHTML5対応
現行のSQL Serverで、管理環境に関するレポートティングのためのグラフィカル&スクリプトツールとして提供されているSQL Server Reporting Services(SSRS)は、HTML5に対応していない古い設計だったので、SQL Services 2016に合わせて刷新する。印刷時にActiveXコントロールを要していた部分を改善し、HTML5ベースにすることでMicrosoft Edgeなど各種モダンブラウザへも対応した。
ようやくHTML5対応や印刷時のActiveXコントロールを不要にしたSSRS
Azure SQL Database Index Advisor
Azure SQL Database Index Advisorは、データベースの使用履歴を分析してインデックスのパフォーマンスを評価する機能だ。SQL Server向けに提供されていたものを、そのままAzure SQL Database向けに2月に一般提供を開始した。「SQL ServerとAzure SQL Databaseの差を埋めるためのもの」(北川氏)という位置づけだ。
Azure SQL Databaseでもインデックスのパフォーマンス評価を可能にした
Azure SQL Database Query Performance Insight
Azure SQL Database Query Performance Insightは、データベースリソースの消費量や負荷の多いクエリなどの情報をもとにデータベースパフォーマンスのトラブルシューティングを担うサービスである。SQL Server 2016に実装される予定の機能だが、「クラウドファースト」戦略に基づき、先行してAzure SQL Database向けに2月に一般提供を開始した。
データベースパフォーマンスのトラブルシューティングを行うAzure SQL Database Query Performance Insight
Azure Active Directory Integration
Azure Active Directory Integrationは、SQL Server 2016およびAzure SQL Databaseへのユーザー認証で、Azure ADを利用可能にするための機能。現在、Azure SQL Database向けに先行してパブリックプレビュー版が提供されている。
これまではデータベースにアクセスできるユーザーアカウントは個別に管理していたが、Windowsも各SQLもADを使って一括したユーザー管理を実現することで、データベースサーバ全体のユーザーID急増を防ぎ、一括したID管理が可能になる。なお、Microsoftは、「Azure AD Integration with Facebook at Work」に代表されるように、Azure ADを他社サービスで使う仕組みの開発に継続して取り組んでいる。
Azure SQL DatabaseやSQL Server 2016からAzure ADが使用可能になる
Dynamic Data Masking
例えばAzure SQL Database上のデータに住所などの個人情報を格納している場合、セキュリティの観点から見れば閲覧できるユーザーは限定するのが好ましい。だが、開発の作業において、テーブルに格納された文字列のデータ型にアクセスしたいというニーズがある。そこで閲覧権限のないユーザーに対しては、データを隠してポリシーに応じたマスクデータを返す仕組みがDynamic Data Maskingだ。Azure SQL DatabaseとSQL Server 2016向けに提供する。
センシティブなデータをあらかじめ隠すDynamic Data Masking機能