ネットワンでのモバイル管理例
最後に、実際にネットワンシステムズで実施しているモバイル管理を例として紹介する。弊社ではEMM製品として、VMwareが提供している「VMware AirWatch」を利用している。
ネットワンシステムズでは、2013年のオフィス移転よりワークスタイル変革を強く促進し、全社VDI化や全社BYOD化など、どんな場所でもデバイスを選ばず効率的に業務を行える環境を整えてきた。
しかし移転当初は、社内システムや業務データへのアクセスは都度PCを起動してVDIへ接続する必要があり、上司が移動中などでVDIを簡単に起動できる環境ではない場合は、スムーズな承認処理が行えないなど、迅速な意思決定には課題が残っていた。
さらに、スマートデバイスを利用する上で、以下のニーズや課題があがってきた。
ユーザーのニーズ
- 利便性の高いシステムを提供してほしい
- マルチデバイス・マルチOS環境に対応してほしい
- ファイル共有などの便利なアプリを業務に使いたい
システム管理者のニーズ
- 統一したセキュリティ機能を簡単に実装したい
- アクセスLogの取得は必須(ガバナンス)
ユーザーのニーズに対しては個々のアプリケーションで実現可能ではあったが、統一したセキュリティ機能が実装できず、管理者側からすると正しく管理ができず、ガバナンスがきかないことからユーザーが何をしているかわからない現状であった。
上記の現状を解決するため、「VMware AirWatch」を導入し、セキュアな環境で社内システムやデータにアクセスでき、意思疎通の迅速化を図った。さらに、ユーザーと管理者双方のニーズを補完することで、ユーザーの利便性だけを上げるためのものではなくシステム運用側のセキュリティや管理面などを考慮できる環境を整えた。
ただし、EMM製品のみを導入しても必ずしも完全に統一したセキュリティ機能やガバナンス強化をすることはできない。特にAndroid OSについては、さまざまなメーカーが開発やカスタマイズを行っているため、EMM製品のみでは限界がある。
そこで、セキュリティ強化を実施するには、Googleが提供しているAndroid for workと組み合わせることでセキュリティを担保するなどの考慮が必要となる。
今回は、ビジネスモビリティを実現するために必要なMDMやEMMについて紹介した。今後モバイル端末上での業務が増加していく中で、業務の効率化とセキュリティやガバナンス対応の両立は必要不可欠となる。
- 小田中 俊博
- ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 第2応用技術部 EUCチーム 2008年よりCisco中心としたコラボレーション(IP電話)製品を担当し、案件支援や、 お客様への設計構築業務を歴任、2015年よりモバイル関連業務に携わっている。