Terry Benzel氏とチームは、科学的な方法を用いてデジタル世界の悪党たちに立ち向かうというビジョンを掲げている。そのビジョンの根幹をなすのは、「DETER Project」の12年間にわたるサイバーセキュリティ研究だ。
サイバー犯罪者は、彼らを取り締まる人々よりはるかに有利な立場にいる。Terry Benzel氏はこの米国国立科学財団(NSF)のプレスリリースの中で、「われわれの敵には、攻撃をテストする素晴らしい環境がある。インターネットだ。彼らは好きなだけ時間をかけて、われわれの脆弱性をじっくり分析し、効果的な侵入方法が見つかるまで、調査や詮索、実験を繰り返すことができる」と述べた。
さらに、悪党たちは、自分が何を破壊しようと、誰を傷つけようと気にしない。
南カリフォルニア大学情報科学研究所(USC-ISI)Internet and Networked Systems部門のデピュティディレクターを務めるBenzel氏、そして同氏と同じ志を持つDETER(cyber DEfense Technology Experimental Research)の複数の個人はこの12年間、インターネットを破壊してしまうことを心配せずに利用できる同様の検証環境をサイバーセキュリティ研究者に提供することで、サイバー犯罪者に有利なデジタル世界の環境を公平にしようと努めてきた。
DETERLab
それを可能にするため、Benzel氏とチームは「DETERLab」を設計および構築し、既に運用を開始している。DETERLabは、企業と政府、大学の研究者がDETER内部の専門家と協力して、サイバーセキュリティソリューションを分析するデジタルテストベッドだ。
南カリフォルニア大学のコンピュータシステムセキュリティセンター(Center for Computer System Security)のディレクターを務めるClifford Neuman氏は、「DETERのおかげで、われわれはインターネットをモデル化して、自分たちのシステムが現実世界でどう反応するのかを理解することができる」とYouTube動画で述べている。
米国国土安全保障省(DHS)の元システムマネージャーであるLuke Berndt氏は、「それ(DETERLab)を利用することで、われわれはシナリオと攻撃を何度も繰り返して、どの構成とソリューションが攻撃者に対して最も有効なのかを確認することができる」と付け加えた。
これまでに200以上の組織と40の州、30の国がDETERLabとそのツール群を利用して、サイバーセキュリティの実験を行っている。

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