300m先のドローンを検知、監視カメラに画像認識--パナソニックの技術応用力 - (page 2)

大河原克行

2016-03-10 08:00

現場のカメラで画像を認識して負荷を軽減

 インテリジェント映像監視技術は、画像認識技術をカメラに搭載することで検知、認識するインテリジェントなカメラへの進化を図るものだ。

 従来のシステムでは、カメラは撮影するだけの機能であり、分析はサーバ側にデータを送信していたが、転送負荷、サーバでの処理負荷が高まり、結果としてシステムのトータルコストを高まるという課題が発生していた。

 パナソニックは、カメラのみで画像認識を処理するため、必要な情報だけをサーバに送信。伝送負荷やサーバの処理負荷を低減。圧縮前の生データを利用することから高い認識性能を実現するといったメリットがある。

 監視カメラは、5年後には3.5倍の出荷台数に拡大。人力で調べる監視システムから必要な情報を自動で検知、解析するシステムが求められている。

 最適な環境で顔を認識する「顔ベストショット」では、大量の画像データを解析し、認識処理や画像圧縮に最適な顔の映像を顔照合アルゴリズムに基づいた独自の処理判定で選定。顔領域に動的に符号を割り当てることで、注目領域の画質を向上させることでベストショットを導き出す。ここで抽出されたベストショットとなる画像のみサーバに送信することから伝送負荷は10分の1にまで削減できるという。

 監視映像から人などの動体を除去して映像を表示する「MOR(Moving Object Remover)」を利用して、監視とプライバシー配慮を両立させられるという。通常の監視映像は事後検証用にレコーダーに記録する。それに対して、MOR映像はリアルタイムモニタリング用にネットを通じて、店舗の本部部門などに配信するといった使い方ができると説明。2つの映像データを蓄積するのが特徴であり、用途に応じて使い分けることができる。

 「MOR映像をマーケティングに活用したという要望があり、来店客のプライバシーに配慮して、人数をカウントしたり、人物の導線や滞在時間を可視化したりできる。来店客を特定せずに、プライバシーを保護しつつ、商品の補充確認などの用途にも利用できる。今後、小売りや物流などの分野での利用が想定される。インテリジェント映像監視技術で監視カメラを人間の脳に近付けるように進化させ、安心安全の社会の実現と新たな映像サービスの実現につなげたい」

MORでの映像。動いている人間は青くマスキングされ、顔などは映らない
MORでの映像。動いている人間は青くマスキングされ、顔などは映らない

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