展望2020年のIT企業

中小企業を強くする経営コンサルのカジュアル化 - (page 2)

田中克己

2016-03-11 07:30

中小企業向け融資を増やす策

 もう1つは、金融機関との連携強化になる。大きな目的は、スモールビジネス向け融資を拡大すること。中小企業が強くなるうえで、融資も欠かせないが、どうしても後回しにされる。融資に関わるコストや時間が同じなら、金融機関が大企業や中堅企業を優先するのは当然のことに思える。

 その課題を解決するために、金融機関が顧客企業の会計データを共有できるようにする。もちろん顧客の同意が必要になるが、みずほ銀行など11行が中小企業などにクラウド型会計ソフトの採用を働き始めているという。

 与信など融資に必要な入出金などデータをリアルタイムに収集し、融資の作業を効率化する。貸付後のモニタリングも容易になれば、経営相談などのサービス提供も可能になる。「今年前半にも、事例が出てくる」と佐々木社長は期待する。

 こうしたパートナーとの協業は、中小企業のバックオフィス業務を最適化することにある。その中心である「最も困っている会計」(佐々木社長)を解決し、帳簿の作成やデータを読むことから、ビジネスの課題解決へと踏み込む。そのため、スモールビジネスを展開する中小企業や個人事業主が経営コンサルティングを手軽に利用できる環境にする。freeeは、それに応えるクラウド化を推進していくのだろう。

田中 克己
IT産業ジャーナリスト
日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。

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