広域でも安定した通信品質のSDN基盤技術を開発--実環境で検証 - (page 2)

NO BUDGET 2016年03月15日 16時47分

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マルチレイヤ・マルチドメイン統合制御技術

 前述の仮想ネットワークの制御構造データベースで物理と仮想のネットワークの各資源でのレイヤごと、ドメインごとの対応関係を格納するリソースプールを構築する。レイヤ間、ドメイン間にまたがるネットワーク資源を動的に制御できるようにし、広域な仮想ネットワークの効率的利用や安定稼働が可能と説明する。

 具体的には、マルチレイヤネットワークのリソース管理技術、多重障害発生時の障害波及予測や復旧技術、SDNでのネットワークを運用管理する機能などの仮想ネットワーク全体のネットワーク品質確認技術が盛り込まれている。従来レイヤやドメインごとに必要だったネットワーク制御を、場所や構成など物理的な制約によらず、広域ネットワークの資源を組み合わせて全体で行えるようになり、広域な仮想ネットワーク利用時の効率性、可用性、利便性が向上するとしている。

 物理ネットワーク資源を直接持たないサービスプラットフォーム事業者でも、通信内容に応じたリアルタイムな通信経路制御、柔軟なネットワーク切り替えによるトラフィック分散、障害発生時に迂回可能な回線冗長化など、ソフトウェア制御で付加価値の高い独自機能を提供できるようになるという。

仮想化対応SDNノード技術

 マルチレイヤ・マルチドメイン統合制御で通信事業者のネットワークの構成や品質を柔軟に変更できる通信装置(ノード)を実現。拠点内ネットワークと拠点間ネットワークで構成される通信事業者ネットワークを対象としており、「トンネル自動設定処理」と「パケットアウェア光パス処理」の2つの技術からなる。

 トンネル自動設定処理は、拠点内ネットワーク向けと拠点間ネットワークと拠点内ネットワークの接続部分向けに、仮想ネットワークを構成するためのトンネルプロトコルをSDNソフトウェアスイッチ上で自動設定する技術。トンネル自動設定処理は、オープンソースのSDNソフトウェアスイッチ「Lagopus」を拡張した。

 パケットアウェア光パス処理は、拠点間ネットワーク向けに、ネットワークの上位レイヤであるパケットトランスポートのリソース状況に基づいて、下位レイヤでさまざまな帯域を持つ光コアネットワークの光パス(ODUflex)を複数提供する技術。ODUflexは、1.25Gbpsで光パスへの収容を実現する光多重伝送方式。

 パケットアウェア光パス処理の制御としては、パケットレイヤと同様に制御できるOpenFlowプロトコル拡張方式(OpenFlowプロトコルをもとにパケットや回線、波長の各レイヤを統合的に制御)を提案、標準化した。

 これらの技術により、従来ネットワークごとに必要だったノードを、光コアネットワークとパケットトランスポート、IPネットワークとトンネルプロトコルを各1台のノード(マルチレイヤノード)で実現できるため、ノード台数を削減するとともにリソースの効率的に利用できるようになることで初期投資を削減できると説明。また、トンネルプロトコルの自動設定、光パスの集中自動制御を実現し、運用費も削減できるとしている。

 今回、上記3つの成果について1000ノード規模のマルチレイヤ・マルチドメイン環境の広域物理ネットワークを想定し、100の仮想ネットワークを構築、制御することで、サービス提供アプリケーションから広域仮想ネットワークが制御可能であることを世界で初めて実際の広域実験環境を構築して検証したという。

 実験では、NTT Comのデータセンター拠点に設置した実験設備を、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の研究開発用テストベッドネットワーク「JGN-X」で接続した広域ネットワーク実験環境で検証している。各社の分担は以下の通り。

  • NEC:共通制御フレームワーク技術、マルチレイヤネットワークのリソース管理技術(無線領域)
  • NTT:高性能SDNソフトウェアスイッチ技術、トンネル自動設定処理技術
  • NTT Com:仮想ネットワーク全体のネットワーク品質確認技術
  • 富士通:マルチレイヤネットワークのリソース管理技術(光領域)、パケットアウェア光パス処理技術
  • 日立:多重障害発生時の障害波及予測・復旧技術

 各社は今後、プロジェクトで研究開発した広域SDNに関する技術成果の実用化を目指し、今後発展が予想されているIoTなどのサービスを実現する基盤技術としての活用、第5世代ネットワーク(5G)の実現に向けた要素技術としての活用を検討していく。

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